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「八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討報告書(素案)」に対する意見要旨 

「八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討報告書(素案)」に対する関係住民の意見聴取に参加

 国土交通省関東地方整備局による意見聴取が、11月6、7、8日に、4会場で行われました。
千葉の会からは、5人のメンバーが香取市の会場で、1人が埼玉の会場で、それぞれ意見を述べました。
香取市の会場では、意見発表者は5人のみで、八ッ場ダム推進派の意見発表はありませんでした。
 最終的には、国交大臣が決定しますが、聴取した関係住民の意見が、きちんと反映されることを切に願っています。
 以下は、6人の意見の要旨です。

意見の要旨

 治水・利水において、ダム建設が有効であるという時代は終わりました。原発は安全で経済的であるという「神話」が終わりを告げたように、ダムは頼りになって経済的であるという「神話」も終わりです。今回の「八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討報告書」を読んでも「費用対効果」の検証は信用できないと思いました。検討に係った皆さんがこの「費用対効果」の数字的根拠についてどのくらい深く検討されたかはわかりませんが、公表されたものをざっと見ても不思議に思う数字が並んでいます。例えば、費用対効果の項目の内「流水の正常な機能の維持に関する便益」を約139億円と見込んでいますが、アンケート調査対象の50キロメートル圏内には、520,981世帯があるというので約120万人の住民がいると思われますが、1500人に調査用紙を送り648票帰ってきて、有効票が281票であるとの記載があります。139億円を算出する根拠としては信じられない方法です。無理なコスト計算でダムを造るのでは次世代に対して申し訳がありません。

(武笠紀子)




 3月11日を契機として、日本のあり方についての見なおしが必要である。従来の、欲求は全て備える、との発想はかなわなくなった。
 このほど1024兆円を超える国の債務が明らかにされ、国民一人当たり802万円の借金を抱える、とてつもない財政危機の状況にある。
 この背景にありながら、なお八ッ場ダム建設事業は従来の計画を推し進めようとしている。
 ムダで危険ですらある八ッ場ダム建設事業の中で、とくに「新規利水」については、人口が減少に転じた、との国勢調査結果を反映することなく、利水参画者の野放図な積算を、国交省は検証することなく検討報告に取り入れ、大きなムダを作ろうとしている。

 東京電力福島原子力発電所の事故により、国民はわずかな節電の実施によって、原発によらない安全な生活を得られるという実績を積んだ。
利水においても「節水」という行動で、孫子への借金を減らすことが出来る、という利益を得られることに気づき、すでに実行している。
 電力を節電していながら、水を流しっぱなしにする生活を国民は望んではいない。
 
新たな時代における、国民の節水と将来にわたる人口の減少、下流域での地下水の利用(東京都、千葉県のいずれも現状の利水維持)で、新規利水は不要である。
水需要計画を予断無く検証し、八ッ場ダムにとらわれない計画の策定をすべきである。

 すでに6都県は国土省に対し、「完成が遅れた場合、ダム完成の時点でダム参加が不要になっていることも想定される」、と将来において水需給が減少することを認識した意見を表明しているのである。

(村越啓雄)

                  


 予断なき検証という名分には程遠い中身の検討報告(案)について以下のような点を指摘したい。
【洪水調節の施策】利根川流域の治水の基礎となる河川整備計画が策定されていないため、国交省は「整備計画相当の目標流量」なるタームを恣意的に駆使してダムの有効性を強調した。公正な議論の場でこれを行わなかったのは河川法の求める理念と規定に反している。
【新規利水の施策】利水予定者の水需給計画の見直しは必須の要件であったはずにもかかわらず、各利水予定者が需給計画の見直しを行った形跡はない。その前提に立てば“代替案はあり得ない”はずにもかかわらず、唖然とするような代替案を提示した検討報告書の意義に疑問を表明せざるを得ない。
【目的別の総合評価】洪水調節、新規利水および流水機能の維持について対策案を抽出、対応した複数の評価軸にそって評価がなされた。検証要領細目によって評価の最大眼目は“維持管理費も含めた上で建設コストを最重視”するとした。評価項目の個別中身は膨大なもので短期間の検証作業ではダム案に比して劣位の判定はむしろ当然。予断なき検証の本来の姿は、対策案としてゼロ・オプション(ダム建設を行わない)を含むべきであった。その前提として「整備計画相当の目標流量」、「利水予定者の水需給計画」の予断なき検証も行われるべきであった。
【費用対効果の検討】2010年10月、会計検査院がダム建設の費用対効果について問題点を指摘した。今回の検証はその指摘に適正に対応したものであったのか、質問を兼ねて提起しておきたい。
【総括的な意見】①検討書作成過程で国交省河川局長から日本学術会議会長宛てに「河川流出モデル・基本高水の検証に関する学術的評価について」依頼があり(2011年1月)、その結果は公表された(2011年9月)。その経過のなかで、学術会議は河川管理の指標となる流量推定の不確実性に触れ、より合理的な河川計画の手法確立、情報の共有、合意形成を図るための計画形成を要請している。その事実に十分な留意をお願いする。②八ツ場ダムが建設されたとしても利根川の河川整備基本方針(2006)による限り、さらに追加のダム建設を想定しなければならないことを知った。これ以上のダム建設が事実上構想できないのであるならば、河川環境の実態に即した河川整備の基本方針について関係諸団体・機関・流域住民との議論を行うことを要請する。③ダム建設が止まっても環境破壊の爪痕を記した自然が残る。地域にとどまっている住民の皆さんの生活基盤再建のために、検討中の支援法案と併せて、「利根川・荒川水源地域対策基金」が使われることを求めたい。

このような公共事業が再度繰り返されないことを切に願う。  

(坂倉 敏雅)




 関東地方整備局が発表した八ツ場ダム検証結果は、「予断なき検証」という触れ込みとは180度逆の、「予断だらけの検証」である。ダムが計画された60年前とは異なり、1都5県の水需要は減少の一途をたどっている。まず水需要を精査することから始めなければならないのに、今回の検証はこれを全く無視。一足飛びに「水は不足している」という前提からスタートしている。従って、「では、どこから水を引いてくるのか?富士川か?」という荒唐無稽な答が導き出されるのである。治水にしても、八ツ場ダムの流量カット効果はハ斗島地点でわずか13センチの水位低下しかない、という市民団体の指摘に、国は反論するどころか黙認している状況。それにも関わらず、過大な洪水調節効果を提示するとは、非科学的としか言えない。真の洪水対策は、利根川流域の堤防補強と河道改修であることは論をまたない。国は検証の抜本的見直しを行うべきである。

(大野博美)




 八ッ場ダムは構想から60年になるにもかかわらず、今だ完成には程遠く、その必要性が問われ続けている。この間、ダム予定地の地域社会、またかけがえのない自然が破壊されてきた。そして、八ッ場ダム計画の杜撰さにより、2回、3回と工期延長・事業費の増額が繰り返されている。
 このような情勢から、民主党政権による「八ッ場ダム中止」宣言から「八ッ場ダムの予断なき検証」が約束され、私たちは注視してきた。しかし、この度出された検証結果は、科学性も客観性もなく、ただひたすら「八場ダム建設」だけが目的であり、日本の公共事業の悪しき慣習である利権構造を守る利害調整に偏ったものであることがうかがわれる。
以下、検証結果について述べる。

○ この検証の目的は「なるべくダムに頼らない治水(利水)への政策転換」であったはずが、これまでダムを推進してきた国交省関東地方整備局自らが、その委員の人選、資料提出、会議の非公開決定などを行ってきたことを見れば明らかなように、「八ッ場ダムが必要である」の結論を導き出すシステムを最初からつくってきたものである。これは国民を欺く行為であり、本来の理念から程遠いものである。
○ 利水については、現実の水需要の実績と今後の人口減等、水需要の減少状況にあえて目をつぶり、利水予定者(都県の思惑)の過大な水需要予測をそのまま認めている。これを前提に、富士川からの導水事業1兆3千億円等非現実的な案との比較は、科学的な検証とは程遠いものである。
○ 治水に関しては、利水と同じように代替案の事業費が八ッ場ダム事業の残りの費用と比較して、跳ね上がるように操作し、八ッ場ダムの効果を過大に評価している。利根川の治水について、カスリーン台風並みの豪雨に対して、八ッ場ダムの洪水調節効果が全くないことを、国交省自ら2008年6月に認めている。検証会議は、国の出した資料が正確であるかの検証もなく、ただ国交省の言い分をうのみにした机上の議論でしかなかったのではないか。日本学術会議が出した結論の説明会でも明らかであった。
○ ダム本体や周辺地域で懸念されている地盤の脆弱さ、ダム湖湛水後の地すべりの危険性への対応など、検証がされていない。地すべり対策が不充分であることは、多くの専門家から出されているにもかかわらず、20数か所に止まっている。
 
 2009年9月、国交省の「今後の治水のあり方を考える有識者会議」の中間取りまとめでは「わが国は現在、人口の減少、少子高齢化、莫大な財政赤字という不安定要因に直面しており、この現状を踏まえれば、税金の使い方を大きく変えなければならないという認識のもと『できるだけダムに頼らない治水(利水)への政策転換を進める』」としている。このようにダム検証の目的は明確であったにもかかわらず、実際に行われた検証は、もっぱら八ッ場ダム建設にゴーサインを出すための検証作業でしかなかった。
 今の日本社会は、中間取りまとめでいう三つの大きな不安要因だけでなく、本年3月11日の大震災とそれによる原発事故により、国民は先行きの見えない混乱のただ中にいる。これ以上次の世代に負の遺産を残してはならない。このことを肝に銘じて行動することが、今の世代の責任ではないか。
 従って、これらのことを踏まえ、真に科学的・客観的な検証を可能とする第三者機関を設置し、公開の場で八ッ場ダム事業の公正な検証を実施することを強く要望する。

(中村春子)




1.検証のあり方について
 初めに、今回の検証のあり方についてです。検証主体がダムを推進してきた国交省自身であること、従来の河川行政に異論を唱えない学者が非公開の場で検証のベースをつくったことなど、当初から八ッ場ダムありきの検証作業であったことに異議があります。本来、有識者会議で話し合うべきテーマは「なるべくダムに頼らない治水政策」であり、前原元大臣の「八ッ場ダム中止宣言」を受けた「予断なき検証」を行うことが目的であるべきでした。しかし、有識者会議ではダムの必要性を科学的客観的なデータに基づき検証するのではなく、ダムの残事業費と代替案のコスト比較をし、八ッ場ダムが最も有利と結論づけたのです。これでは「予断なき検証」など行われるはずがありません。目的と手段が歪められ、ダムありきの結論を導き出すためのアリバイづくりが行われたと断じざるを得ません。福島原発事故により、「原子力ムラ」の存在が顕在化したように、この度の検証結果で「河川ムラ」ともいうべきダム利益共同体の結束が示されたのではないでしょうか。「予断なき検証」は行われていません。

2.流域住民を無視した非現実的な対策案
 第二に、今回の検証がいかに流域住民を無視した机上の空論であったかという点についてです。利水面においては、実績とかけ離れた利水予定者の過大な水需要予測を見直すことなくそのまま容認しており、これではまったく意味がありません。千葉県は2008年9月に策定した長期水需給計画に基づくデータをあげていますが、概ね2005年度までの実績をベースとした予測です。すでに水需要は漸減傾向にあり、最新データに基づき、水需要の精査をすることなど容易にできる時代です。それを行わなかったのは、行政の不作為と言わざるを得ません。また、ダムの開発予定水量である毎秒22㎥を前提とし、代替案を検討しています。国交省は、藤原ダムの掘削や富士川からの導水、渋川市周辺での地下水取水等々の代替案は大幅な法改正や河川行政のシステム変更を伴わない範囲であらゆる方法を模索した結果であると説明しています。しかし、富士川からの導水路は概算で1兆円以上かかり、非現実的です。残事業費が1千億円程度の八ッ場ダムが有利と結論づけるための対案に過ぎず、机上の空論です。都県側も5月24日に開かれた国と6都県の「検討の場」において、これらの代替案を「荒唐無稽だ」「実現性に乏しい」と一斉に批判し、建設を前提とした再検証作業の早期終結を強く要望しています。多額の負担金を出してきた関係都県は現実的な対応を求めています。その意味でもダム中止に伴う補償法を制定しダム建設の場合と同程度の水利権を都県に分配する、暫定水利権の安定化の検討がなぜ提案されなかったのでしょうか。既存の枠組みでの検討を国交省が主導するのではなく、水利権許可制度の改善など、現実的で利水者のメリットにつながる代替案を議論すべきと考えます。
 次に治水面については、河川整備基本計画策定時の目標流量毎秒15000㎥を無視し、新たに河川整備基本計画相当量17000㎥を持ち出して八ッ場ダムを必要不可欠と位置づけました。整備計画時の目標流量15000㎥を2000㎥に引き上げ、ダム等による洪水調節量を2000㎥から3000㎥に、河道対応流量も13000㎥から14000㎥に引き上げました。しかし、これらについての科学的根拠が示されていません。ダムありきを前提に恣意的操作が行われたことは明らかです。2006年2月、国交省は河川整備基本方針を発表。同年12月からより具体的な治水対策である河川整備基本計画の策定作業を開始し、公聴会も開かれました。私は5年前の当時、埼玉での全体公聴会の場において、印旛沼を経由する新たな利根川放水路計画がいかに非現実的か、流域の治水対策の現状について、住民の立場から公述しました。しかし、その後、この基本計画策定の手続は、理由不明のまま中断しています。5年前に公述した時と今回の意見聴取にあたっての前提が大きく異なるのは、整合性がなく納得できません。97年に改正した河川法では「住民参加」と「環境保全」の新たな視点が盛り込まれました。その法の精神に沿って、河川整備基本計画の策定が進められるべきです。今回の検証結果についての意見聴取を既成事実とし、河川法に規定された必要な手続きを踏むことなく利根川水系河川整備計画の内容を決めることは断じて認められません。一方、千葉県も国にダムの早期完成を求めるだけであり、八ッ場ダムが本県下流域の治水対策としてどのような効果があるのか、具体的な検証を行っていません。利根川上流の吾妻川流域にはダムがないからバランスよく配置する必要があるとの国の言い分をそのまま認め、下流域でたとえ1センチでも水位を下げることが重要との認識です。500億円もの県負担に照らして費用対効果はどうなのかなど、関心外ですべて国にお任せの姿勢です。いったい誰の何のための公共事業なのでしょうか。

3.工期延長と事業費増額について
 最後に、工期延長と事業費増額についてです。ダム本体工事に着手した場合、完成までの期間は87カ月(7年3か月)と示されています。これまで工期の遅れは政権交代の中止方針によって説明されてきましたが、実際は付帯工事である鉄道や国道の工事の遅れが原因です。私もこれまで幾度となくダム建設予定地を訪れ、工事の進捗状況について説明を受けてきました。計画では2011年3月末完成予定ですが、鉄道の新駅付近の用地買収が難航し、見通しが立っていません。また、工期の点検結果を見ると、ダム本体工事完成後の試験湛水開始から6か月後に供用開始となっています。しかし、現地調査を行った専門家は試験湛水後に地すべりが起こり、その対応策に時間も費用もかかると指摘しています。実際、滝沢ダムは本体工事着手から事業完了まで12年1カ月、宮が瀬ダムは14年5か月かかっています。また、都県側の一番の関心事である事業費増額については、点検結果で149億3千万円の増額が示されました。この点についての都県側の追及に対し、「あくまでも代替案と比較するための仮置きの数字であると理解してほしい」と基本計画変更の議論を避けています。しかし、都県側は第3回の幹事会において「増額負担はまったく支払う理由はない、そのことは議論の余地はないので、一切払わない」と言明しています。千葉県の利水負担金は昨年度までに261億2千万円、建設負担金は165億8千万円、合計427億円になります。千葉県も震災の復旧復興予算が嵩み、今年度180億円の財源不足が予測されています。工期も事業費も見通しが立たない八ッ場ダム事業にこれ以上、巨額の税金を投入する余裕はまったくありません。何よりも急ぐべきことはダム計画によって60年間、翻弄されてきた現地住民の方々の生活再建です。国は早急に法案成立に着手し、八ッ場ダムは完全中止すべきです。東日本大震災と福島原発事故の経験を踏まえ、私たちは従来の公共事業のあり方や価値観を見直す選択に迫られています。今回の検証についても机上の空論を議論するのではなく、流域の住民生活の視点から現実的で真に実効性のある対策を議論すべきです。そのためにダム推進に異論を持つ科学者や流域住民の参加による公開の場での意見交換会、対話集会など検証プロセスに盛り込み、法規定に基づく再検証を強く求めます。

(入江晶子)

「八ッ場ダム住民訴訟通信ー72」ー最近の八ッ場ダムをめぐる国の動き 

最近の八ッ場ダムをめぐる国の動きについて、茨城の会の「八ッ場ダム住民訴訟通信ー72」にわかり易くまとめられていますので、転載させていただきます。


八ッ場ダム住民訴訟通信-72
2011年9月28日発行

国民無視、政治無力・・・“河川村の村芝居”。
八ッ場ダムが必要か否かの検証が、代替案とのコスト比較にすり替わる。Oh茶番。
 
 9月13日、八ッ場ダム検討の場で関東地方整備局(以下関東地整)は「総合的な評価の結果、最も有利な案はダム建設」と報告しました。八ッ場ダム検討の場とは、すでにお知らせしたように、関東地整と1都5県。つまり八ッ場ダム事業者=河川村による“客観的な検証”という茶番劇の舞台なのです。
 そもそも八ッ場ダムの検証は「ダムが必要か否かの検証」であった筈のものです。なぜこんなに国民を愚弄した茶番劇が演じられてきたのか、その経緯を追跡すると「原発安全神話」をつくった政官産学による原子力村と同じ“河川村”の姿がくっきりと浮かび上がります。

■第一幕:ファンファーレ
2009年9月政権交代。前原国交大臣はマニフェスト通りに「八ッ場ダム中止」を発表。

■いきなり暗転

同月、八ッ場現地を訪れた前原大臣は、現地の推進派住民と1都5県知事の剣幕にたじろぎ、「予断なき検証をする」と後退。ただし「八ッ場ダムの中止は変わらず」と言明。

■第二幕:暗闇にまぎれて河川村住民の登場
2010年1月、前原大臣の私的諮問機関として「できるだけダムに頼らない・今後の治水対策に関する有識者会議」が発足。しかしメンバーは国土交通省による人選のためダム推進派の学者で固まる。しかも会議は非公開。早くも権力は前原大臣から河川村に移る。

■第三幕:河川村その正体を現す。政治無力。
2010年6月、上記の有識者会議が「中間とりまとめ」を発表。
現行のダム事業と代替案をコスト重視で比較検討する。その場合ダム事業は残事業費とする。
検討主体:国交大臣 検討検証主体:関東地方整備局 検討検証の場:関東地整+1都5県+関係市町村。コスト重視なら4600億円の大半を使ってしまった八ッ場ダムより安くつく代替案はなし。検証検討の場は八ッ場ダム事業者だけになるから「八ッ場推進の大合唱」。まっ暗闇。

■第四幕:菅内閣発足、国交大臣交代。期待を寄せたが…。
馬渕新国交大臣「予断なき検証とは、八ッ場ダム中止は前提ではない」と更に後退。

■第五幕:薄日さす。河川村を地盤とする自民党から異端児・河野太郎登場。
2010年秋、衆院予算委員会で自民党の河野太郎議員が「これまでの基本高水の根拠としていた一次流出率0.5と飽和雨量48mmは欺瞞だ」と指摘。答弁に立った馬渕国交大臣はそれを認め、利根川の基本高水は根本から見直すと言明。

■えっまた暗転。暗闇に魑魅魍魎。
2011年1月、日本学術会議土木工学建築学委員会「河川流出モデル・基本高水評価検討等分科会」なる会議が発足。日本の最高の科学者集団という触れ込みだが、内閣府に属するお役所。大臣はそこへ丸投げ。土木工学建築学会と聞けば誰だって御用学者の集団と思う筈だが馬渕大臣は純情だった。ご丁寧に検討等分科会の小池俊雄座長は、あの基本高水22000トンを決めた「河川整備小委員会」のメンバーだった。この集団のお仕事は関東地整が出してくる「河川流出新モデル」を検証の名を借りてお墨付きを与えること。河川村がいつもやっていることだ。

■第六幕:河川村ぬけぬけと八ッ場ダムを後押し。
2011年8月、日本学術会議は新モデルで計算した結果、200年に一度の豪雨による洪水は毎秒21200トン→22200トンへ。カスリン台風の再来洪水は22000トン→21100トンへ(ただし実績は17000トン?)。従って利根川の基本高水は従来通り22000トンで変わらず。と回答。
関東地整は、問題の飽和雨量と一次流出率を変更しただけで、それ以外の係数は22000トンになるように調整。学術会議はカスリン台風の再来計算と実績とのかい離を説明できぬまま、これまで嘘に嘘を重ねた従来の基本高水を追認。

■第七幕:河川村「八ッ場ダムが最善」と我田引水。1都5県知事万歳三唱。
2011年9月、関東地整は1都5県知事を含む検証検討の場に「八ッ場ダムが最善」と報告。知事各位は「あたりまえじゃ。遅すぎる」とぶつぶつ言いながらニンマリ。
 3.11を境に、私たちは政官産学による「原子力村の誤りを繰り返さない」と誓いました。マスコミは結果として「原発安全神話」を作ってしまったと反省していた筈です。しかし原子力村の行方は不明ですが、河川村はぬけぬけと健在でした。誰が見ても明らかな河川村の村芝居の茶番を、大半のマスコミは垂れ流し続けました。東日本大震災・大津波、原発事故と戦後最悪の状況にあるこの国が、災禍も癒えぬ今日、過ちを正すところかぬけぬけと繰り返すありさまは絶望的です。国民よ市民たれ。マスコミよジャーナリズムの誇りを取り戻せ。
※茶番(劇):底の見えすく浅薄な物事のたとえ。人をだます名人。(広辞苑より)
※本稿は前号の「嘘で固めた利根川基本高水の履歴」をご参照ください。

富士川(静岡県)から導水する???。
正気の沙汰か利水代替案。なんと事業費1兆3000億円。

“予断なき検証”のために出された八ッ場ダムの利水代替案は「富士川からの導水+地下水取水+藤原ダム再開発」を筆頭に荒唐無稽なものばかり。比較する八ッ場ダムの利水残事業費は600億円ですから馬鹿馬鹿しくて検討にも値しません。何よりもこれ以上水源開発を必要とするか否かはまったく検証もせず、各都県の水需給計画を鵜呑みにしてコストだけ比較するのですから国民を愚弄しています。例えば茨城県は現行の「いばらき水のマスタープラン」を水需給計画として提出しています。でも、この計画は達成年度の2020年度には日量46万トンの水余りを県自身が認めながら、環境用水と危機管理水に振り分けてごまかしているものです。その上、本年4月の「茨城県総合計画」では、2020年度人口を297万人から285万人へ下方修正しています。県もまた河川村の住民として奮闘しているのです。誰のために???。

第7回八ッ場ダムをストップさせる茨城の会総会
■日時12月4日(日)午後1時30分(開場1時)  ■場所:取手福祉会館2階B1・2
■講演「仮・八ッ場ダム検証の茶番を暴く」嶋津暉之(水源連共同代表) 他盛りだくさん。

八ッ場ダムをストップさせる茨城の会 代表:近藤欣子 濱田篤信 柏村忠志
事務局:神原禮二 〒302-0023取手市白山1-8-5 携帯:090-4527-7768

日本学術会議、国交省の基本高水計算を容認 

(八ッ場あしたの会のホームページより)


【日本学術会議、国交省の基本高水計算を容認】

2011年9月3日
 ダム行政の見直しという、国民が民主党政権に期待した課題は、いつのまにか官僚に丸投げされ、一般の人々にはわけのわからない机上の数字の辻褄合わせで煙幕がはられてしまいました。

 まるで首相と国交大臣が交代するタイミングに合わせたかのように、利根川の「基本高水」を検証してきた日本学術会議は今月1日に開かれた幹事会の了承を得て、国交省の計算を妥当とする結論を国交省へ伝えました。
 日本学術会議の基本高水検証は、もとはといえば馬淵元大臣が八ッ場ダムの「治水」目的を検証するために指示したもので、そのきっかけを作ったのは、東京新聞特報部の記事、河野太郎衆院議員(自民党)による国会追及などでした。日本学術会議への依頼は、馬淵元大臣退任の日に国交省河川局長名で出されました。学術会議の検証は科学的・公明正大であることが期待されましたが、現地調査をすることも、実際の洪水との乖離という矛盾を説明することもなく、国交省の方針を追認する結果に終わりました。
 こうした経緯は、「治水」に関する学問が政治や行政の影響を強く受けるために、科学性を保つことが極めて困難であることを物語っているようです。

 今回の会議では、これまで同分科会が検証してきた「河川流出モデル・基本高水の検証に関する学術的な評価」の検証結果を了承し、国交省に伝えました。  今回の回答内容は6月20日の最後の会議で示された回答骨子案とほぼ同じです。

 日本学術会議のホームページには、これまでの議事や配布資料などの情報が掲載されています。↓
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/bunya/doboku/giji-kihontakamizu.html

 今回の回答と参考資料も掲載されています。
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/kohyo-21-k133.html

 回答は学術会議の幹事会の了承を得てから出すことになっていましたが、幹事会が開かれず、回答が延び延びになっていました。
 この回答が出されたので、9月5日の国土交通省の社会資本整備審議会河川分科会(第44回)で利根川の基本高水の審議についての報告が行われます。↓
http://mcaf.ee/vdgxk

 日本学術会議分科会の小池俊雄委員長(東京大学教授)は審議会河川分科会の委員でもありますので、小池氏が報告するものと思われます。
 国交省みずからによる八ッ場ダム検証は、ダム本体工事着工のための儀式と化しており、馬淵元大臣が指示した「基本高水」検証も結局は国交省に都合のよいように利用されただけで終わりました。
 なお、日本学術会議分科会はこれから、一般に対する説明会を開きますが、まだ日程は明らかにされていません。

 日本学術会議の回答の主なところは次のとおりで、国交省の基本高水の計算値を容認し、付帯意見をつけました。また、森林の生長による保水力の向上については否定的な見解を示しました。

●20ページ

5 結論

本分科会では、現行モデルについての十分な情報を得ることは難しかったが、モデルの内容の理解に努め、現行モデルに含まれる問題点を整理し、水収支に着目した有効降雨モデルに基づく貯留関数の新モデルの開発方法を推奨した。次に、新モデル、現行モデルの双方について、分科会自身でプログラムを確認し、動作をチェックし、基礎方程式、数値計算手法について誤りがないことを確認した。さらに、感度分析やシミュレーション結果の整理により、新モデルの物理的意味合いを検討した。その上で、観測データのない場合や、計画策定へ適用する場合に必要となるモデルの頑健性をチェックし、さらにそのような場合に適用したときの不確定性を評価した。これらの評価は、両モデルのみならず、分科会独自のモデルをも��!
�って実施した。その結果、国土交通省の新モデルによって計算された八斗島地点における昭和22年の既往最大洪水流量の推定値は、21,100m3/sの-0.2%~+4.5%の範囲、200年超過確率洪水流量は22,200m3/sが妥当であると判断する。


●21ページ

6 附帯意見

既往最大洪水流量の推定値は、上流より八斗島地点まで各区間で計算される流量をそれぞれの河道ですべて流しうると仮定した場合の値である。一方、昭和22年洪水時に八斗島地点を実際に流れた最大流量は17,000m3/sと推定されている[6]。この両者の差について、分科会では上流での河道貯留(もしくは河道近傍の氾濫)の効果を考えることによって、洪水波形の時間遅れが生じ、ピーク流量が低下する計算事例を示した。既往最大洪水流量の推定値、およびそれに近い値となる200年超過確率洪水流量の推定値と、実際に流れたとされる流量の推定値に大きな差があることを改めて確認したことを受けて、これらの推定値を現実の河川計画、管理の上でどのように用いるか、慎重な検討を要請する。


●18ページ

エ 洪水時の森林の保水力と流出モデルパラメータの経年変化

流出モデル解析では、解析対象とした期間内に、いずれのモデルにおいてもパラメータ値の経年変化は検出されなかった。戦後から現在まで、利根川の里山ではおおむね森林の蓄積は増加し、保水力が増加する方向に進んでいると考えられる。しかし、洪水ピークにかかわる流出場である土壌層全体の厚さが増加するにはより長期の年月が必要であり、森林を他の土地利用に変化させてきた経過や河道改修などが洪水に影響した可能性もあり、パラメータ値の経年変化としては現れなかったものと考えられる。しかしながら、人工林の間伐遅れや伐採跡地の植林放棄などの森林管理のあり方によっては、流出モデルのパラメータ値が今後変化する可能性も十分あることに留意する必要がある

 関連記事を転載します。

◆2011年9月2日 東京新聞総合面

 -国交省の再計算 学術会議「妥当」-

 日本学術会議は一日、都内で幹事会を開き、八ッ場ダム(群馬県)建設の根拠とされる利根川水系の最大流量(基本高水)について、国土交通省が再計算した数値は妥当とする同会議分科会の検証結果を妥当とし、国交省に伝えた。
 幹事会は「専門家の意見を聴いており問題ない」と説明。治水面でのダム建設の必要性を追認した形となった。
 従来の最大流量は森林の保水力を過小評価しているとの批判があったため国交省が再計算し、第三者機関の分科会が検証。六月に妥当との見解を明らかにしている。
 再計算した最大流量は、過去最大とされるカスリーン台風(一九四七年)時の同県伊勢崎市の基準地点での推定値で毎秒約二万一千百㌧、同台風を上回る二百年に一度の洪水時は毎秒約二万二千百トン。従来の同台風の際の降雨量などから最大流量を毎秒約二万二千トンと算出していた。


◆2011年9月2日 上毛新聞一面

 -利根川最大流量 国再計算は妥当ー

 日本学術会議は1日、都内で幹事会を開き、八ッ場ダム建設の根拠とされる利根川水系の最大流量(基本高水)について、国土交通省が再計算した数値は妥当とする同会議分科会の検証結果を了承し、国交省に伝えた。
 幹事会は「専門家の意見も聴いており問題ない」と説明した。
 従来の最大流量は森林の保水力を過小評価しているとの批判があったため国交省が再計算し、第三者機関の分科会が検証。6月に妥当との見解を明らかにしている。

「八ッ場あしたの会」チラシ 

「八ッ場あしたの会」の新しいチラシができました。
「知っていますか?八ッ場ダムの真実」という見出しで、 
八ッ場ダムができると水力発電量が大幅に減ってしまうことについて書かれています。
どうぞ、内容をご覧になり、周りに広めてください。
      ↓
http://www.yamba-net.org/

STOP八ッ場通信10号P2【政官業+司法が奏でる東京四重奏判決】 

*第20回裁判(6/23)10:30~結審の行われる法廷が601号法廷から201号法廷に変更となりました。 ご注意ください。

↓クリックで拡大
STOP八ッ場通信10号

【政官業+司法が奏でる東京四重奏判決】
一旦始まった計画は、政官業トライアングルが断ち切れず、なかなか止められない」
これに司法が加わったのではないか、と思わせる判決が、5月11日に東京地裁で出されました。

 午後2時、各地から参加した原告団、弁護団などで満席の東京地裁103号法廷で言渡されたのは「一部却下、その他は棄却」の判決でした。
 判決は、判決要旨の言渡しもなく、あっという間に閉廷となり、開かれた司法制度に向っているはずの東京地裁の裁判が、こんな昔の裁判になっていいのか、と憤りの声が原告団から口をついて出ました。
 法廷に入りきれない仲間や外部への報告のため、用意した「不当判決」のビラを担当者が裁判所の外で掲げると、「ウワッー!」という声が広がりました。 
 裁判後、直ちに判決文を弁護団を中心に精査し、原告団・弁護団が記者会見して、抗議声明を出す一方、その他の原告団、弁護団は、各地の出席者からの意見表明や決意の表明などを行ない、さながら決起大会の様相でした。
 抗議声明では「本件判決は司法の役割を放棄した不当な内容であるから、原告らは東京高等裁判所へ控訴手続を行うとともに、他県の住民訴訟の原告らとも手を携え、引き続きたたかい続けることを表明する。今後とも、みなさまのご支援をお願いしたい」と訴えました。

 判決は、本文が87ページ、図・表を含め104ページの大部のものですが、内容には重みがありません。

1)却下
口頭弁論終結以前の支払差し止めを求める部分のほか、東京都水道局長が国土交通大臣に対し八ッ場ダム使用権設定申請を取り下げる権利の行使を怠るとの主張、及び、東京都知事らに八ッ場ダムに関し負担金等の支出命令をさせることの差し止めを求めた部分は、地方自治法242条の2第1項の住民監査請求の条件を満たしていない、とされました。

2)棄却
八ッ場ダムの利水については東京都の行った将来の水道需要予測及び水源評価に不合理な点は認められない。東京都は日本の首都であるから、利根川流域の各県と比較して安定供給に重きを置くことはむしろ合理的な理由がある。
治水については東京都が治水上の利益を受けることは全くないとは認められない。
貯水池周辺の地滑り等の危険性については,危険性が放置されたままの建設事業であるという事実は認められない。危険性の在る箇所について、国土省は再検討して修正を予定し、技術的に充分対応可能である、と認められる。
従って、国土交通大臣の納付通知に著しく合理性を欠くとは認められないので,本件支出命令が違法であるとは言えないので請求を棄却する、とされました。
 裁判後の、さながら決起大会での弁護団からの感想で「判決内容には恐れることはない。原告が提示したデータに全く触れずに判断している箇所、採用している被告の証拠を誤用している箇所、まともに応えずにはぐらかしている箇所、これらが、利水、治水、危険性の争点で多く存在している。これらを高裁への控訴理由準備書面で明らかにしていく。」と力強い発言がありました。
 私たちは、6都県の仲間とともに、しっかりと弁護団を支え、裁判を闘っていくとともに、市民にこの不当性を訴え、各議会での修正も勝ち取っていきましょう。
村越啓雄
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