「著しい利益」がない千葉県負担は違法 

河川法第63条ではこうなる
 ~河川の管理に要する費用の負担原則~ (第3回)
宇都宮大学名誉教授 藤原 信
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 千葉県は、群馬県の吾妻川に建設される八ツ場ダムのために、治水分として585億円を負担することになっています。7割の410億円は国庫補助金が出ますから、千葉県の治水分の直接の負担額は175億円となります。群馬県に建設されるダムのためになぜ千葉県が費用を負担するのでしょう。

 1級河川の利根川の管理に関する費用は、河川法第59条の規定により、原則として国が負担することになっています。

 しかしその管理によって生ずる利益は都道府県にも帰するので、公平の原則の見地から、管理に要する費用を都道府県にも負担させることにしたのが河川法の第60条と第63条です。
 第60条「都道府県《群馬県》は、その区域内における1級河川の管理に要する費用については、政令で定めるところにより、その2分の1を負担する。」により、群馬県は受益分として、河川管理の費用の一部を負担します。

 第63条(他の都府県の費用負担)「国土交通大臣が行なう河川の管理により、第60条第1項の規定により当該管理に要する費用の一部を負担する都府県《群馬県》以外の都府県《千葉県》が著しく利益を受ける場合においては、国土交通大臣は、その受益の限度において、同項の規定により当該都府県《群馬県》が負担すべき費用の一部を当該利益を受ける都府県《千葉県》に負担させることができる。」という規定により、千葉県が費用の一部を負担することになります。(アンダーラインと《群馬県・千葉県》は藤原が挿入した。)

 しかし、千葉県が費用を負担する場合は『著しく』利益を受ける場合です。
 『河川法解説』(1994年)には「著しい利益とは、他の都府県が一般的に受ける利益をこえる特別の利益である。河川は、上流から河口に至るまで連続した一の水系を成し、その管理も水系を一貫して行われるべきものであるので、ある都府県の区域内における河川管理により、他の都府県が多かれ少なかれ利益を受けるのは当然予想されるところであり、多少なりとも利益があれば常に本条の負担金を課することとするのは、本法において河川の管理のための費用負担の体系を定めた趣旨に反するものと考える。」と説明されています。

 利根川の上流の吾妻川から銚子の河口まで一連の水系ですから、八ツ場ダムの建設で、千葉県は多少の利益を受けることは当然に予想されますが、100キロ以上も離れた上流に建設される八ツ場ダムが、直接、千葉県の治水に役立つとは思われませんので、千葉県が『著しい利益』を受けることはありません。

 利根川の治水計画によれば、関宿(野田市)で江戸川に毎秒7000トンを分流し、印旛沼調整池を活用した新たな利根川放水路で1000トンを東京湾に流すことになっています。八ツ場ダムのカット量は600トンです。

 新利根川放水路の事業費は3000億円といわれていますので、建設をするとなれば、千葉県は3分の1の1000億円を負担することになります。
 八ツ場ダムの費用を負担する上に、利根川放水路の費用も負担するとすれば、千葉県は二重の負担をすることになります。

 八ツ場ダムから「著しい利益」を受けることのない千葉県は、費用を負担する法的根拠はありません。法的根拠のない支出は違法だと思います。

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