STOP八ッ場通信16号 P4.5【八ッ場ダム予定地の現状】 

STOP八ッ場通信16号 P4,5

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<八ッ場ダム予定地の現状>渡辺洋子(八ッ場あしたの会事務局長)

八ッ場ダムの予定地では、大規模な関連工事が続いています。
 JR川原湯温泉の駅前に建設中の湖面1号橋は、橋脚が空高く伸び、橋げたが造られ始めました。
 一方、川原湯温泉は衰退が止まらず、残る五軒の旅館のうち、二軒が代替地への移転準備を始めています。
 国交省はダム事業の進捗をアピールし、群馬県も「生活再建事業の9割が完成している。本体予算を一日も早く執行してほしい」(7月7日、大沢知事)と訴えていますが、現地をつぶさに見ると、ダム事業の行き詰まりと矛盾はますます顕著になっています。

◆事業の行き詰まり
 この間、国交省による現地説明、地元住民からの情報等によって確認した主な点は、以下の通りです。
・ダムサイト予定地を走るJR吾妻線の付け替え工事の完了時期は未定。
・「川原湯温泉」駅の移転予定地周辺の用地買収が難航(ダム湛水による地すべり等が懸念されているため)。
・国交省は追加の地すべり対策と代替地の安全対策 を実施することになったが、具体的な対策のための地質調査、詳細設計はまだ。
・川原湯の上湯原代替地の造成には、もろい土が使われた可能性があり、安全性が不安視されている。代替地の用地提供に応じない地権者もいる。
・川原畑地区では、熱水変質した地質により、付け替え国道の山側の地すべりがおさまらず、調査と対策工事が08年から続いている。
・代替地への移転世帯は、05年の国交省調査では134世帯であったが、安全性への不安、分譲地価の高さから地区外転出が進み、昨年末時点の移転世帯数は僅か65世帯。
・下流都県の基金事業で各地区の地域振興施設を造る予定だが、維持管理費をどこが負担するか未定。

◆八ッ場ダム予定地の埋蔵文化財
 最近、関心が高まっている問題に、八ッ場ダム予定地の埋蔵文化財があります。これまでの発掘調査で、縄文時代から近世まで、各時代の遺跡が重層的に大量に埋もれていることが判明しています。
 中でも注目されるのが、川原湯対岸の川原畑・東宮(ひがしみや)遺跡です。東宮遺跡では、江戸時代・天明三年の浅間山噴火で埋もれた集落がタイムカプセルのように出現しました。養蚕や酒造りが行われ、交易が盛んだったことをうかがわせる遺跡は、「貧しいとされる当時の山里の暮らしぶりの定説を覆すような発見」(09年6月24日 朝日新聞群馬版)と高く評価されています。
 発掘調査はダム事業費から支出されていますが、国交省は八ッ場の遺跡に関心が集まることを避けたいようで、文化庁の列島展への「東宮遺跡」の出展にも難色を示しています。
 一方、地元には、「水没予定地に遺跡公園をつくったら、地域振興が可能になる」と言う人もいます。厳しい自然の中で営々と築かれてきた人々の生活を破壊してきた八ッ場ダム計画ですが、今なら、まだ再生の希望があります。水没予定地にはまだ未発掘の遺跡が沢山あります。工期短縮のために、貴重な文化財の調査がおざなりにされることのないよう、注視してゆく必要があります。
 故郷を沈めたくないと願いながら、声をあげることもできない地元の方々の思いを受けとめながら、八ッ場の埋蔵文化財に光を当てたシンポジウム開催へ向けて準備を進めています。(別紙チラシ参照)

<「東京の会」の裁判を傍聴して都も国も国民をだまし続けてきた>
 8月7日、控訴審初の証人尋問が、東京高裁の大法廷で行われた。利水についての証人は嶋津暉之さん。原告側の島弁護士の質問に答える形で、東京都の水需要予測がいかに実績とかい離しているか、八ッ場ダムが必要であるという結論を導くために、どんな姑息なテクニックを使って計算したかを明らかにした。これに対し、都側の弁護士は「前提が違うので…」と訳のわからないことを言って反対尋問をしなかった、いやできなかった。こちら側の完全勝利と思ったが、嶋津さん曰く「いかに非合理的でも裁量の範囲内と、たかを括っているのではないか」。
 治水の証人は、関良基さん(拓殖大学准教授)。国交省は、森林の保水能力を実際より低く評価して計算しているため、洪水の流量が過大になっていること、ダム建設の根拠となるピーク流量が高くなるよう恣意的な操作をしている可能性が大きいことを明らかにした。都側の弁護士は、言葉の意味を聞くだけで、反対尋問の体をなしていなかった。関さんの感想は「私の知識を試し、裁判官の印象を悪くしたかったのでは…」。なるほど。
 原告側は、さらに7人の証人申請をしたが認められなかったため、忌避(3人の裁判官に対する不信任案)を申し立てた。今後、忌避の理由が妥当かどうか、他の部で審理するとのことである。
 被告席に座っている都の職員たちは、どんな思いで聞いていたのだろうか。自分たちの仕事に誇りを持てるのであろうか?   (服部かをる)

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