利根川水系河川整備計画の民主的な策定、 地元住民の真の生活再建策、 八ッ場ダム本体工事の再考を求める要請書 

 6月22日(金)、「八ッ場ダムを考える1都5県議会議員の会」が
羽田雄一郎国土交通大臣宛に、以下の要請書を提出しました。



2012年6月22日

国土交通大臣 羽田 雄一郎 様
                

八ッ場ダムを考える1都5県議会議員の会
                 代表世話人 角倉邦良群馬県議会議員
           〒370-2132 高崎市吉井町吉井547-3 サトカンビル3F
                        電話 027-387-1432  ファックス 027-387-1433


利根川水系河川整備計画の民主的な策定、
地元住民の真の生活再建策、
八ッ場ダム本体工事の再考を求める要請書

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 私たちは八ッ場ダム事業の見直しを求める利根川流域一都五県の都県議会議員の会です。
 八ッ場ダム事業は1952年に最初の構想が発表されました。爾来60年、ダム予定地に大きな犠牲を強いてきたこのダム事業は、自民党政権における利権構造の象徴とされてきました。八ッ場ダム事業は「治水」、「利水」の必要性が失われる一方で、地滑りなどの災害を誘発する危険性が顕在化し、杜撰な計画によって事業費の増額と工期の延長を繰り返してきました。
 民主党は2009年の総選挙マニフェストの筆頭に「八ッ場ダムの中止」を掲げ、多くの国民の支持を得て政権が発足しました。しかしながら、2010年から2011年にかけて国土交通省関東地方整備局が実施したダム検証は、ダムの必要性について客観的、科学的な根拠を示すことなく「事業継続」という検証結果をまとめ、前田武志前大臣は昨年暮れに民主党の反対意見を無視して八ッ場ダム本体工事の予算案計上を決定しました。
このままでは、河川行政が国民の理解を得ることは到底不可能です。

 こうした経緯を踏まえ、私たちは羽田大臣に次の三点を要請します。

1.12月22日に藤村修官房長官が八ッ場ダム本体予算執行の条件として提示した、利根川水系河川整備計画を民主的な手続きによって策定すること。 
 利根川水系河川整備計画の策定に当たり、淀川水系河川整備計画の策定作業と同様、有識者会議にダムに批判的な識者を入れ、事務局を国交省とは別の第三者機関が務めるなど、客観的、科学的な審議が可能となるよう配慮して下さい。
 パブリックコメント、公聴会等の実施に際しても、単に流域住民の意見を「聞きおく」だけでなく、流域住民と十分に議論をする場を設け、流域住民の意見を河川整備計画に反映させるように努めてください。
 現在、国交省関東地方整備局は、有識者会議の枠組み、人選が未定の段階で、河川整備計画の全体像も示さないまま、治水安全度だけを取り上げてパブリックコメントを募集中です(6月23日締切)。パブリックコメントの募集要項には、同局の提案する治水安全度のために、どのような事業が必要で、どれだけの経費がかかるかという基本的な情報が書かれていません。情報が少ない中で「安全度は高い方がいい」という意見へと流域住民を誘導し、八ッ場ダム等の大規模河川事業につながるようにする意図を疑わざるを得ません。
 関東地方整備局では昨秋、八ッ場ダムのパブリックコメントを実施しました。この時、埼玉県の八ッ場ダム推進議連会長である自民党県議が大量の同一書式をコピーして議会事務局を通して提出するという、所謂「やらせパブコメ事件」が発覚し、大きな社会問題として新聞紙上でも取り上げられましたが、同局はこれを問題視せず、多くの国民がパブリックコメントに寄せた八ッ場ダムに反対する意見を黙殺しました。このような不誠実なパブコメを繰り返す関東地方整備局に対して、国民の不信はかつてない程高まっています。
 利根川には堤防が脆弱な箇所が少なくありません。治水効果が少なく、不確実なダム計画に偏重するのではなく、堤防強化など、真に利根川流域住民の安全を確保するために何が必要かを流域住民ともに考え、流域住民との協働作業で河川整備計画を策定するようにしてください。

2.八ッ場ダム事業によって大きな犠牲を強いられてきた地元住民を救済するため、生活再建対策、地域振興策に早急に取り組むこと。
 これまで国土交通省、関係都県はダム事業によって地元住民の生活再建を実現するとしてきましたが、ダム事業の進展とともに水没予定地は疲弊し、衰退の一途を辿っているのが実状です。ダム事業によって真の生活再建を実現することはもはや不可能です。八ッ場ダム予定地では、住民が移転する代替地の整備事業が大規模に行われていますが、工期の遅れ、安全性への懸念などから、代替地へ移転する住民は当初予定を大きく下回り、地域は急激な人口減少に見舞われています。
 また、工事現場に取り囲まれた水没予定地では、観光業の維持が困難となっており、地域経済の破壊が著しく進行しています。八ッ場ダムは、国交省の検証では2019年以降の完成とされており、実際には工期はさらに延びる可能性が高いとされています。地元住民をこうした困窮した状態にそのまま放置することは、許されないことです。
 ダム事業と切り離して、地元住民を救済するための生活再建対策、地域振興策に早急に取り組んでください。

3.八ッ場ダムの本体工事を再考すること。
 利根川水系河川整備計画の策定において、八ッ場ダムが治水面で必要か否かがあらためて問われることになっています。事実に基づく真っ当な議論、検討が行われれば、八ッ場ダムは不要な事業だという結論が出ることが予想されます。一方で、2で述べたように、地元はむしろダム事業によって衰退の一途をたどっており、地元のためにダム事業を進めるべきだという話は現実を踏まえない虚構です。
 昨年暮の民主党の反対に対して出された藤村修官房長官の裁定の条件がクリアされていないので、八ッ場ダム事業の平成24年度当初予算は、本体工事費が含まれていません。八ッ場ダムを位置づける利根川水系河川整備計画が策定されない限り、この状態が続きます。
 これらの状況を鑑み、八ッ場ダムの本体工事の是非を改めてお考えください。

 これらの諸課題について羽田大臣が真摯に取り組まれ、政治への信頼を回復されることを心より期待しております。

以上

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