STOP八ッ場通信15号 P2【八ッ場ダム検証の背後にある問題はなに?】  

八ッ場通信15-2面

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<八ッ場ダム検証の背後にある問題はなに?>

治水の手段としてのダムは有効か
 ダムは当たれば大きなホームラン、しかし多彩な変化球で攻められると全くもろい打者、そんな打者に高給を支払う余裕はない球団のような状態に、今この国はあります。利根川の治水にあたって基本高水流量22,000m3/秒(八斗島地点)の妥当性が住民訴訟の論点になりました。

 2009年9月の政権交代後、八ッ場ダム本体の建設中止が表明されました。2009年12月には国土交通大臣の私的諮問機関「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」が設置され、この国の治水の理念が問われたはずでした。ところが4代の国交大臣の顏(前原、馬淵、大畠、前田)が変わるなかで、ダム建設の是非の検証が事業者である国交省の河川官僚の囲い込みのなかで行われたのです。その過程で、訴訟原告団、メディアや学者の持続的な疑問の追及、そして“利根川の洪水計算に使用した飽和雨量の値”に関する河野太郎議員の質問(2010年10月衆議院
予算委員会)から基本高水論争は新しい展開を見せるかに思われました。

 2011年1月馬淵大臣の指示により河川局は日本学術会議に対して"河川流出モデル・基本高水の検証に関する学術的な評価"を依頼、しかしその検討結果は河川局の思考の枠組みを崩すものとはなりませんでした(国交省新モデルによる八斗島地点の200年超過確率洪水流量の推定値22,200m3/秒は妥当と判断)(2011年9月)。煩瑣をいとわず基本高水論争の経緯に触れたのは、もし基本高水の値を引き下げることができれば、利根川水系河川整備計画相当の目標流量17,000m3/秒も下げることができ、そうすると八斗島下流の河道対応流量14,000m3/秒との対比で、
ダムの必要性を言いつのる根拠はなくなるのです。

 自然をモデル化しての論争では、当然異なった見方があり得ます。モデルの適用性について疑問(貯留関数法による洪水流出計算、森林保水力)が学術会議の検討の場に提起されました。学術会議は政策論争に巻き込まれることを回避し、国交省の主張を補強する役割を果たしました。科学者の社会的責任、学者個人の自律性と倫理性が問われています。

公共事業と学識者・有識者の関わり
 八ッ場ダム事業の当否を問う論争には、学識者が関わっています。河川官僚は検証にあたって、河川整備計画(相当)の目標流量の設定や、ダムによる削減効果の見込み予測を行いました。また利水面では過大な水需要の見直
しをすることもありませんでした。河川官僚のこのような行為を監視することが学者・有識者に求められたはずです。関東地方整備局段階では「利根川・江戸川有識者会議」(11月4日)が、本省段階では「有識者会議」が検証報告を了承(12月1日)、事態を憂慮した"ダム検証のあり方を問う科学者の会"(賛同学者124人、代表今本博
健京大名誉教授)から公開討論を求める呼びかけが「有識者会議」に対して行われましたが、その呼びかけを無視して事態は進んだのでした。

●2012年にかけての霞が関での事態と並行して、東京高裁における控訴審での控訴人および弁護団の戦いは続きます。(坂倉敏雅)

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