八ッ場ウラ・オモテ 

そもそも2003年、県議会議員になった動機が「八ッ場ダム」だったと言う、大野ひろみ県議の報道に対する怒りが収まらない。
今まで腹に納めていた事実もついチョロリと吐き出し、吼えまくっている。

【八ッ場ダム中止をバッシングするマスコミは恥を知れ!】(2009/09/27)

今ネット上で、いろんなブログが取り上げているのが、「八ッ場中止は困る!」と泣き叫んでいた「地元住民」という女性が、実は八ッ場ダムばりばり推進派の町議会議員だったという話題だ。
「涙でダムが一杯になるほど泣いた」などと名(?)セリフを吐いた彼女だが、とうとう正体がばれて、現在長野原町役場には苦情の電話やメールが殺到しているとか。

しかし、一番責められるべきは、こうした自称「地元住民」の正体を知ってか知らずか、「これでも八ッ場ダムを止めるのか!」とウソ八百のヤラセ情報を垂れ流し、民主党をバッシングし続けたマスコミだろう。公共の電波や紙面を使って、ダム推進派の一方的な主張を偏重報道した責任を、一体どう考えるのか。

(中略)

あなた方は、つい最近まで国交省が住民をだまし、懐柔し、札びらでほっぺたを張り飛ばしながら、川原湯温泉から人々を追い出し、あるいは地価のものすごく高い代替地を押し付けた経過をご存知ないのか?
もっと言うなら、今テレビで「八ッ場ダム絶対推進!」と叫んでいる住民とやらが、どれほどの補償金をもらえるかを、ご存じないのか?
彼らの一部が国交省とどんな付き合い方をしているか、ご存じないのか?
ここでは詳しく書けないけれど、真実を知ったら、もう「可愛そうな人たち」などとは言えなくなりますよ・・・

最初は2110億円だった八ッ場ダム事業費を、いともやすやすと、2倍以上の4600億円に引き上げたとき、あるいは、工期が10年も引き延ばされたとき、何にも疑問を感じなかったのか?
私たちが、議会で懸命に「異」を唱えていたことをご存じないのか?

また、私たち1都5県の住民が、5年前から八ッ場ダム反対を掲げて、各地裁で住民訴訟を起こしたことをご存知ないのか?
そして、今年東京地裁などが次々と、自民党政権下の国交省の意のママに、住民の根拠のある主張を「問答無用」とばかりに切り捨てたことをご存知ないのか?
もし、ジャーナリストとしての良心のかけらを持ち合わせている記者さんなら、東京地裁の判決を読んでほしい。住民の主張を読んでほしい。

1日200万トンもの水が余っている東京都。八ッ場ダムなどなくても江戸っ子はヘイチャラだい!それなのに、ああ、それなのに、国交省と東京都知事だけを潤んだ目で見ているヒラメ(目が上にだけついている)判事は、100%東京都の主張に軍配をあげ、自分はサッサと出世コースの別の職場に移って行った。
こんなことも、ご存じないのか?

こうした住民裁判や、地道に八ッ場ダム反対に取り組んできた私たちの言い分、民主党(大河原さんなど)が国会で八ッ場ダムに関しておこなった質問など、面倒くさくても目を通してほしい。

地元の泣き叫ぶオッちゃんやらオバちゃんやらの言葉を鵜呑みにし、映像を垂れ流し、記事を書き散らすだけなら、ジャーナリストとは呼べんでしょう。ただの「邪ーなリスト」でしょう。

それが無理なら、なぜ一昨年の暮れに、八ッ場ダムの工期が更に5年延びることが決まったとき、騒がなかったのか、ジャーナリストさんたちよ。
ちょっとデータを見れば、これは4600億円では済まないダム建設であり、到底工期どおりには終らない工事であることは明々白々。国交省とゼネコンが仕組んだエンドレスの金のなる木、「金の卵、打ち出の小槌」だということが分かるはずだ。

八ッ場ダムは今更始まった事業ではない。
それに、現場をちょっと歩けば、工事が2割程度しか進んでいないことくらい分かるはずだ。
それが無理でも、石原都知事の「八ッ場ダムは、あとは水を溜めるところまで来ている」などという知事と言う字を「恥爺」と書き換えたほうがいいくらいの、無知蒙昧の発言をそのまま記事になどできないはずだ。
そのとき、そのとき、場当たり的に、大きな声を出している方にだけ目を向けて情報を流すことはもういい加減にやめてほしい。

(中略)

「権力におもねらず、大衆におもねらず」
これはマスコミのみならず、私たち政治に関わる身にとっても至上の命題である。

→全部読む

八ツ場ダムの7不思議 

まさのあつこさんの「ダム日記」から、分かりやすい解説をご紹介します。

【八ツ場ダムの7不思議】2009年9月26日 (土)
八ツ場ダムは、半世紀経つ間に必要性を失った(以下2と7)のはもちろん、実は、かなり無理矢理な、自然の摂理に逆らったダムで、いろいろな意味で未来永劫、利子がついてまわる事業です。各自治体の政策決定者とそれを支える職員の方々には、冷静にこの事業の全体像を把握していただきたいと思います。

事業費(4600億円)の利子(国債、地方債の利子)を含めると9000億円に膨れ上がる。それだけに止まらず、以下の3、4、6にかかる事業費はまた別で、さらに他にも隠れたコストがあります。隠れたコストについてはまた書くことにして、今日は、八ツ場ダムの七不思議ということで、まとめてみました。転載歓迎です。

八ツ場ダムの七不思議

1.半世紀が過ぎてもまだできない:八ツ場ダムは特定多目的ダム法に基づく治水、利水を目的とした多目的ダムだが、1952年のダム計画浮上から57年が経過した。ゼロ歳だった人でも57歳になんなんとす。疲れ果てて反対運動の旗を住民が降ろしたのは1992年。それから17年が経ち、総事業予算の7割が消化されたが、事業完成度は2008年度末で付替国道6%、付替県道2%、付替鉄道75%、代替地造成10%など、完成までの道のりは遠い。3000億円強はどこへ消えたのか?

2.東京五輪の渇水に備える事業?!国内外から大勢の人々が集まるオリンピック渇水に備えるためのダム。といっても石原知事が招致を進める2016年五輪ではない。1964年のことだ。東京都の水需要は1975年から減少を始め、日量最大690万トンの供給力に対し、170万トンが余っている。

3.1日53トンの石灰が必要:上流の草津温泉から流れ出る湯は、ダムを作ってもコンクリートが溶けるほどの強酸性。ゆえに一端は計画が頓挫した。しかし、1963年に石灰を投入する「中和工場」を完成させ計画が復活。以来、1日約53トンの石灰が投入され、ダムを作る限りは未来永劫にそれを続ける必要がある。

4.石灰の沈殿物を貯めるダムと土捨て場が必要:石灰の投入でできる中和生成物を沈殿させるために1965年に品木ダムを建設。その沈殿物を浚渫し、捨てにいく新しい土捨て場も未来永劫に必要になる。

5.3人の首相と3人の世襲がガード:ダム予定地(長野原町)を抱える選挙区からは福田赳夫、中曽根康弘、小渕恵三と3首相が出てこの事業を推進。そんな選挙区は他にはない。世襲した福田康夫、中曽根弘文は隣の小選挙区・参議院と群馬県に陣取り、ご当地は小渕優子が後継(敬称略)。前政権を象徴する因果な事業である。

6.ダム湖周辺は浅間山噴火で崩れた山の残骸:1783年の天明の大噴火で泥流死者1538人を出した浅間山。当時、死体が東京湾まで押し流されたことが古文書に残る。その泥流が積もったグサグサの地質に地すべりの大敵である水を貯めることになるのが八ツ場ダム。 22箇所の地すべり地が判明しているがコスト縮減のため、2箇所しか対策をしない。さらなる追加対策予算が必要になると反対団体は指摘する。

7.カスリーン台風への効果はゼロ:1947年のカスリーン台風被害が発端の計画だが、同台風が再来しても効果はゼロであることが国会で暴露された。

上記7については「本当か?」と信じがたいと思う人もいると思うので、国会議事録へのリンクと政府答弁を張り付けておきます。その下に、この官僚答弁の読み方解説★もつけておきます。

衆議院予算委員会第八分科会 平成17年02月25日
国土交通省河川局長清治真人
八ツ場ダムにつきましては、吾妻川という支川に建設されるダムでございますが、その流域にたくさんの雨が降る場合とそうでない場合とがあるわけでございまして、カスリン台風のときのような雨の降り方においては、八ツ場ダムの効果というのは、八斗島地点について大きいものは期待できないというふうに計算結果も出ております。

★実は「大きいものは期待できない」どころか、ゼロだったのが暴露されたのが以下。

塩川鉄也議員の突っ込み
カスリン台風洪水に対応しての八ツ場ダムの洪水調節効果はゼロなんですよね


反論できない国土交通省河川局長清治真人
今御指摘のありましたようなダムの効果でありますとか、それから、これからダムがどのくらい必要になるのか、こういうようなこともあわせて検討してまいる所存でございます。

★反論できないとき、官僚は認めずに、話をまるめて、逸らして、ゴックンと飲み込んで分からなくしてしまう。

まさのあつこ


【石原知事の『7割できていて』と完成率のミスマッチ】

2009年9月22日 (火)

私自身がここでミスリードしてしまっただろうが(申し訳ない)
国交省が見せている「事業進捗率」とは予算の話。

以下で石原知事が言うような「大体7割できていて」論は誤りだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
9月11日【石原東京都知事】
もう、大体7割できてきて、あとダムそのものをつくるか、つくらないかって、全部疎開したわけでしょう。道路も鉄道も全部つけかえて、幾ら工費がかかったか、べらぼうなものでしょう。これは、私は、ちょっと中止するという案件にしちゃ、いささか問題があると思いますな。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「7割」には契約が済んだだけのもの、未完工部分を含んでいる。
つまり7割のカネの使い道は決まっているが、工事は進んでいない。
よく報道に使われる十字架のような橋脚。
あれだけ見ても7割完成ではない。

→正確にはここをご参照ください


八ツ場あしたの会の調べにより、完成率は
国道6%、付替県道2%、付替鉄道75%。

現在のところ工期は2015年、事業予算は4600億円。予算執行の観点から進捗はしていても、肝心の完成率がまだこの程度では、先は長いということを示しています。増額延長されることを考えれば、現時点での中止は、一都五県にとっても考慮すべき選択肢であるはずです。


【石原知事の『大渇水論』と八ツ場のミスマッチ】
都官僚の説明を鵜呑みにしているらしい都知事発言について書いておきます。長野原町でダムが必要と言う方の根拠が「石原知事が大渇水に必要だと言うから」というのがありましたので。

石原東京都知事「日本だってですね、いつですな、どういう干ばつにさらされるかわからない」(2009年9月4日記者会見)http://www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/KAIKEN/TEXT/2009/090904.htm

ところが事実は違う。

【その1】八ツ場ダムの計画の目標は石原知事がいう「いつどういうとき」の「干ばつ」でも耐えられるよう設計されているダムではない。東京都水道局のウェブサイトにも出ています。どの程度を想定しているかと言えば、
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
[水源開発における利水安全度について]
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/water/jigyo/step21/03.html
(建設省河川局開発課「主要地域が水道水源を依存している河川のダム等の現況利水安全度について」より抜粋)

我が国における水資源の確保は、基本的に10年に1回程度発生する規模の渇水時でも安定的に取水できることを計画目標として、将来の水需要の増加に対してダム等の整備を行ってきています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
大渇水ではなく、目標自体が10年に1回。そして、

【その2】
では、10年でどれぐらいの渇水が起きているかと言えば東京都水道局の資料がここにある。
「頻発する渇水」というスポーツ新聞なみの小見出しで大袈裟に広報しているが、実際におきているのは「取水制限」。
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/water/jigyo/step21/data/step12.jpg
見てのとおり、取水制限が1日もない年が大半で断水はなし。
あるのは、自主節水(5%)~取水制限(30%)で、断水ではない。
5%から30%、大切に水を使うことでしのげている。
それでは取水制限は1年で何日だったのかと思いきや、
上記のグラフでは日数にわざわざ給水制限率をかけて、普通の人には分からない数に細工している。数字の操作で事実を分かりにくくしているとも言えます。
コンビニにいけば多用な種類のウォーターボトルが販売されているように、良くも悪くも飲料水が手にはいらずに死ぬという砂漠のど真ん中のような事態はない。逆に、水が少ない国々では、日本企業による優れた「膜」の技術で、汚水すら処理して飲める時代です。
上流のダムで貯めて、下流で取水する権利を買う、明治時代から持つ古い水利権(慣行水利権)を優先し、ダムを作らなければ新しい水の権利がひねり出 せないという旧来の水利権行政を転換すればそれだけで確保できる水もある。東京都は1都5県の先頭に立って転換を突き上げていかなければならない自治体で はないでしょうか。
それにはまず、八ツ場ダムにおける東京都の受ける「恩恵」が、既存施設の能力に対してどれぐらいのものか、現実を自分の職員に腹を割らせて聞く必要があるのではないでしょうか。

ちなみに、八ツ場あしたの会の嶋津暉之さんの調べにより、八ツ場ダムで貯める利水分は、利根川全体の水の5%に過ぎません。
http://yamba-net.org/modules/problem/index.php?content_id=22#04
単純に考えても、50秒蛇口をひねるとしたら、全員が45秒で止めれば、捻り出せる計算です。

優秀な水行政官僚により、日本はすでに高度成長を乗り切って、これからの時代はまた違う局面を迎えています。

内容ある八ッ場ダム記事を紹介 

毎日代わり映えしないメジャー系テレビ&新聞の八ッ場報道では退屈を感じてるあなたに、読み応えある記事を紹介します。

日刊ゲンダイ 2009年09月25日版は、他大手マスコミ報道とは一線を画したものだった。

この国のマスコミの浄化は河清と同じ
政治家も官僚も変わろうとしているのに、大マスコミは相変わらずの報道姿勢だ。八ツ場ダムの住民が建設中止を反対してい ると報じているが、ダムをこれ以上造らないという必然性をなぜ解説しようとしないのか。民主党の小沢幹事長についての勘繰り記事や、アメリカ側の思惑に乗 せられた日米関係維持報道、官僚に操られるだけの会見を続行しようという時代錯誤の認識にどっぷりと漬かっているだけだ。半世紀以上に及ぶ自民党政権の総 括も、55年体制下での報道姿勢の反省もせず、いたずらに民主党批判を繰り返すばかり。中国に”百年河清をまつ”のタトエがあるが、この国のマスコミの浄 化もそれと同じなのか。
八ツ場ダム建設中止に怒る 地元民の怪しい声
八ツ場ダム建設中止に地元が猛反発、マスコミが大きく報じて中止を表明した前原国 交相はすっかり悪者になっている。が、これには裏から仕掛けている黒幕がいる。怪しいのはダム建設を食い物にしてきた国交省の天下り職員たち。ダム建設を 落札している企業、公益法人、随意契約業者などに計176人もが天下りしているのだ。前原大臣を立ち往生させて、ダムを存続させ、民主党に打撃を与えれ ば、一石二鳥になる……。

日刊ゲンダイ 2009/09/26版より抜粋
 群馬県は総理大臣を4人も出した保守王国だし、長野原町には古くから地元のドンもいる。テレビに出て、ダム中止に怒りをあらわにする住民は、「群馬を牛耳ってきた自民党の関係筋ばかり」(事情通)だという。そうでない地元民は、「おかしいと思っても口には出せない。あからさまにダム建設の中止を訴えれば、あとで何をされるか分らない」と語る。しっぺ返しを恐れているから、反対の声が聞こえてこないわけである。ダム中止反対は、いわば「つくられた民意」(前出の事情通)というから変な話しだ。
 もうひとつ、彼らを”推進派”に押しやっているのが「補償金」だ。これまでほとんど報じられていないが、この問題が地元民を縛っている。
「補償金問題は表に出ず、ブラックボックスになっているのが現実です。」
 こう指摘するのは、「八ッ場ダム・足で歩いた現地ルポ」の著者で、ジャーナリストの鈴木郁子氏だ。水没する世帯や田畑の所有者に対する具体的な説得は1980年代から始まった。しかし、ハッキリしないことばかりだ。
「立ち退きのための補償金については個々の家の資産によってマチマチで、どこも言いたがりませんし、情報公開を取っても非開示なのです」(前出の鈴木郁子氏)
 本誌の取材では最高の家で10億円近いが、確たる話ではない。自公政権時代の国交省は地元説明会でさえ、下流都県から契約済みの家に支払われる感謝のお金に関する資料は配布しなかったという。一説には一戸当たり800万円くらいとされていたようだが、よほど公表されたくない金額なのかと勘ぐられても仕方ない。
 移転を決意した人にとって、こうした補償制度が見直されたり、元に戻ることが怖い。それで「ダム建設を計画通りに進めてほしい」の合唱になるわけだ。すでにダム建設予定地周辺には、道路建設費も含めて3217億円の税金が投じられている。ダム本体建設にはさらに1400億円が予定され、そういった工事をアテにしている地元民も多い。地元観光協会や旅館関係者はダム完成後の新しい観光地に期待している。ここで中止は死活問題というのもうなずける。
 しかし、民主党は生活再建を支援するための特別措置法を準備し、何も過去の補償金を召し上げるつもりもない。国が買い上げた田畑をもう一度借りて農業を続ける方法だってある。
 世間は水没住民に同情する人ばかりではない。騒動拡大以来、長野原町の役場には全国から「ダム建設中止は当然だ」「地元だけの損得で反対するな」という抗議の電話が殺到している。
 政権交代の意味を深く考えない民放テレビのワイドショーや大新聞は「地元民がかわいそう」の論調でやっているが、この調子だと「地元のエゴじゃないのか」の大反発をくらいかねない情勢だ。
八ッ場ダム八ッ場ダム~足で歩いた現地ルポ
(2004/12/03)
鈴木 郁子

商品詳細を見る



「保坂展人のどこどこ日記」八ッ場ダム関連

八ッ場ダムが「災害」を増幅する危険性(2009年09月26日)
この数日間、八ッ場ダムのことを集中して書いてきた。 とくにテレビ報道があまりに極端な「つくらないともったいない」「ダム建設に翻弄された住民の涙」などと国土交通省河川局提供なのかと思わせるような番組 を垂れ流していたので、何とかしなければならないと考えたからだ。反響は大きく、ついに9月24日のアクセス数は25000IP/53000PV(goo ブログアドバンス3位)にまでふくらんだ。ある民放のテレビ局のアナウンサーからも電話をもらった。自分たちが流してきた情報はもしかしたら表面にすぎ ず、八ッ場ダム問題の根底にある重要な領域を外してしまっているのではないかという自戒が生まれてきていると感じた。ぜひ、深く根底をえぐる報道番組をつ くってほしい。 . . . 本文を読む


八ッ場ダム、ユキダルマ式にふくれた「もったいない」の嘘(2009年09月24)
昨日のエントリー(「八ッ場ダム、とめどなく溢れる思考停止報道」)に 関して、たくさんの関連ブログや反響を頂いた。新聞・テレビ・週刊誌とメディアが発達しているはずのこの国でも、メディアの深層に仕掛けられた「八ッ場ダ ム、途中でやめるなんてもったいない」という論調は、またたくまにユキダルマ式に膨らんでお茶の間を席巻した。 . . . 本文を読む


八ッ場ダム、とめどなく溢れる思考停止報道(2009年09月23日)
前原国土交通大臣が八ッ場ダムの視察に向かった。 これを前後して洪水のように溢れるテレビ報道は、どれもステレオタイプな表層をなでるばかりのもので、「ここまで造ったのにもったいない」「住民の怒りは おさまらない」などと繰り返している。私たちが10年にわたってこのダムの問題点と向き合ってきたのは、「造ること自体がもったいない」「住民の意志は踏 みにじる」旧建設省河川局以来の国の姿勢そのものだった。 . . . 本文を読む


八ッ場ダムとチェックの会へ「初取材」(2009年09月21日)
昨日は、読売新聞から「公共事業チェック議員の会の八ッ場ダムへの取り 組みについて」というディープな取材があった。前原国土交通大臣が「八ッ場ダム建設中止」を打ち出したのは、民主党のマニフェストに明記されていたからで あり、鳩山総理は昨年八ッ場ダムの現地視察を行なっている。そして、鳩山由紀夫さんは現在も超党派の議員集団「公共事業チェック議員の会」の会長であり、 私が事務局長をつとめている。したがって、取材の目的は鳩山氏がいつ頃から「八ッ場ダム」を意識し、昨年来どんな議論をしてきたのかを確認することにあっ た。政権交代後に初めての「公共事業チェック議員の会」事務局長・保坂展人への取材だった。 . . . 本文を読む


「みどりといのちの公共事業」への転換を(2008年09月30日)
道路やダムをつくっていた人たちが、介護の現場や地域サービスで働くよ うにする。このところの変則的な大雨で水害が頻発しているが、治水効果は大型ダムで対応する時代ではない。八ッ場ダムに9000億円かけるのであれば、河 川の浚渫と護岸をしっかりやる方が予算は効率的に使える。また「みどりのダム」と言われてきた森林に人の手が入らないことで、治水能力が低下している。地 球環境温暖化対策でもあり、林業にも「みどりの公共事業」として人と予算を振り向けるべきだ。 . . . 本文を読む


「八ッ場ダム」失敗を認めてこそ日本が変わる(2008年09月15日)
先週、長いこと激しい反対運動と裁判闘争を重ねてきた熊本県の川辺川ダ ムについて蒲島郁夫知事が反対を表明したことで、「動き出したら止まらない公共事業」は大きな転換点を迎えた。もうひとつ、八ッ場(やんば)ダムが止まれ ば「日本が変わる」ことを示したシグナルになる。総額1兆円にも届きかねない大型公共事業は55年前に企画され、激烈な反対運動を巻き起こしながら「半世 紀」のスパンで動いている公共事業である。今日は、シンポジウム「ダムに負けない村---八ッ場から地域の再生を考える」(東京大学弥生講堂に参加した。 午後から開催されていたシンポジウムには、杉並区内の街頭演説(7カ所)のため参加出来なかったが、ようやく終了間際に駆けつけた。 . . . 本文を読む


「アゴラ」管論プラットフォーム
八ツ場ダムとサンクコスト - 池田信夫
八ツ場ダムの総事業費4600億円のうち、すでに3200億円が使われ、残る事業費は1400億円です。国土交通省の公式発表によれば、ダムの費用対効果は3.4だから、効果は1兆5000億円以上ということになります。これが事実だとすれば、ダムは建設すべきです。逆にその効果が費用を下回るなら、建設は中止すべきです。今まで地元の人々が苦労した気持ちはわかるが、そういう取り戻せないサンクコストは考えてはいけないのです(各都県に費用を返還するのは当然で、国と自治体の間の所得移転にすぎない)。

「きっこの日記」世田谷通信
八ッ場ダム報道でヤラセ発覚
「八ッ場ダム報道でヤラセ発覚」(世田谷通信)
2009年 09月 24日 (木)

緊急アンケートです!
「必要のない無駄な大型公共事業をすべて見直し、税金を本来の目的である国民のために使う」という理由で民主党が公約に掲げた1つ「八ッ場ダムの建設中止」に対して、何故だか各報道は一部のダム建設推進派の主張ばかりを報道しています。
2009年 09月 24日 (木)

八ッ場ダムに関するデマ報道が相次ぐ
「八ッ場ダムに関するデマ報道が相次ぐ」(世田谷通信)
2009年 09月 23日 (水)


気まぐれな日々より
八ッ場ダムをめぐる謀略マスコミのとんでもない「やらせ」報道
2ちゃんねらーは星河氏が「最近テレビ出まくってる」と書いているが、私も見たことがある。えらく強硬な人だなあと思ったが、ダム推進派の町議会議員ならさもありなんと思うだけだ。最近はネット検索というツールがあるので、テレビで星河由起子氏の名前でネット検索をかけた人が、上記公明党茨城県議のブログで星河氏の肩書きを発見するし、アクセス数の多い『きっこのブログ』で、星河氏の固有名詞こそ出さないものの町会議員が一般市民を装ってダム建設推進を訴えていたことが指摘されると、それを見て町議の固有名詞を知ろうとする者がやはりネット検索で事実を知る。こうして、テレビ局の悪質な「やらせ」の手口がネットを介して広まっていくのである。

必要なのはまず検証! 

当サイトでも科学的データや実態を後悔し、「検証」「検証」と毎回呪文のように唱えているが、テレビの検証度はまだあまりに低い。
2009年9月22日JANJANに掲載された成瀬裕史さんの検証記事がとても分かりやすいので紹介させていただきます。

【いま八ッ場ダム議論にもとめられる冷静な判断】~マスコミが煽る感情論ではなく科学的な論点整理を~成瀬裕史2009/09/22

■改めて「中止を明言」した鳩山内閣
 “ムダな公共事業”の象徴として民主党マニフェストに明記されていた「八ッ場ダム」。
 「鳩山総理」指名前から、「中止反対」住民協議会が発足したのを皮切りに、関係6都県の“自民系”“民主系”議連双方が「早期完成」「建設中止・生活再建」の要請を決めるなど、関係者の動きが活発化していたが、9月16日の鳩山内閣発足後、鳩山新首相、前原新国土交通相は、改めて「中止」を相次ぎ「明言」した。
いま八ッ場ダム議論にもとめられる冷静な判断 | 八ッ場ダム建設予定地の概観(国交省・八ッ場ダム工事事務所HPから)八ッ場ダム建設予定地の概観(国交省・八ッ場ダム工事事務所HPから)
■“感情論”に訴えがちなマスコミの論調
 この鳩山内閣の「中止明言」を受け、地元・群馬県の大澤知事が「地元の意見を聞かずに中止とは言語道断」と怒りをあらわにし、周辺5都県の知事も「中止の際には支出済負担金の返還を国に求める」ことで一致するなど、「八ッ場ダム問題」を巡る論戦・報道も、一気に“ヒートアップ”して来た感がある。

 こうした中、テレビ・新聞等マスコミの論調の多くは、「継続と中止のどちらがムダか」や、「国の施策に翻弄された地域住民の苦悩」などが中心となっており、ともすれば“感情論”に訴える余り、世論が「事の本質」を見誤る懸念さえ感じられる。

いま八ッ場ダム議論にもとめられる冷静な判断 | 利根川のダム位置と想定氾濫区域図(国交省・八ッ場ダム工事事務所HPから)利根川のダム位置と想定氾濫区域図(国交省・八ッ場ダム工事事務所HPから)
■いま一度論点を整理し「八ッ場ダム問題」を“科学”する?
 「脱・官僚主導」「税金のムダづかい根絶」を掲げて「政権交代」を実現した鳩山政権にとって、その象徴ともいえる「八ッ場ダムの中止」は、公約実現の “試金石”である。これを実行できない場合、「やっぱり公共事業を止められなかった」と国民の“失望感”を誘って政権が“急降下”しかねず、「何としてでも」事業中止を“断行”する構えである。

 しかし、一方で、水没する地域住民の移転も“決着”しており、“かさ上げ”道路の橋脚が「既成事実」として現に存在する中、公約とはいえ「中止の強行」が真に「国民のため」なのかは、正直、疑問が残る。

 鳩山首相はかつて衆院選に初出馬した際、「政治を科学する」をキャチフレーズとしていたようだが、“感情論”に流されがちな「八ッ場ダム問題」に対して、国民・関係者も“冷静な判断”が行えるよう、今一度、この問題に対する「論点整理」が必要なのではあるまいか。

 このため、(1)「民主党はどういう理由でダム中止を主張しているのか」、(2)「八ツ場ダムとはどういう理由で作られるのか」、(3)「何が問題となっているのか」を整理した上で、(4)「それではどうしたらいいのか」について、私なりに整理を試みてみたい。
(これ以降、少し長めの記述となりますので、結論をお急ぎの方は“見出し”を参照願います。)

■検証1…民主党の主張する「ダム中止」の“理屈”は「暮らしのための政策」財源
 民主党マニフェスト (PDF)では、2頁目に「政治とは、政策や予算の優先順位を決めることです。私は、コンクリートではなく、人間を大事にする政治にしたい」と鳩山代表の署名入りで主張を述べている。

 また、4頁目の「1.ムダづかいをなくすための政策」で、「国の総予算207兆円を徹底的に効率化。ムダづかい、不要不急な事業を根絶する」とし、公共 事業の節約額1.3兆円の説明の中で、「川辺川ダム、八ツ場ダムは中止。時代に合わない国の大型直轄事業は全面的に見直す」としている。

 これを素直に解釈すると、「暮らしのための政策の財源のために、不要不急な八ツ場ダム建設を中止する」という脈略となる。
 このため、八ツ場ダム建設が「不要不急な事業」であるかどうかの“検証”が必要と考えられる。

■検証2…「八ツ場ダム」の目的(1)[治水] の有効性には「甚だ疑問」
 それでは、八ツ場ダムの「建設目的」はどういうものなのか。
 国土交通省関東地方整備局の八ッ場ダム工事事務所のHPにある『八ッ場ダムの役割について』を見ると、『八ッ場ダムはどんなダム?』 には、「利根川水系の支川・吾妻川の中流域に位置し、貯水量は約1億m3、東京ドームの約87個分に相当」とある。

 また、『役割その1…洪水から暮らしを守る』 では、「増水時に貯水し少しずつ流すことで洪水発生を防ぐ」ため、「6,500万m3の調節容量を確保し毎秒2,400m3の流水を調節」し、「群馬県内の下流沿岸はじめ利根川下流の茨城・埼玉・千葉・東京等首都圏の洪水被害が軽減」としている。

 HPをここまで見て私の素朴な疑問は、毎秒[2,400]m3だと[6,500万]m3の容量は「7時間半」で一杯になってしまうが、果たして大雨による増水は「7時間半」で収まってくれるのであろうか? ということである。

 また、HPには「想定氾濫区域面積は1,850k㎡、区域内の資産額約50兆円、人口約450万人に影響が及ぶ」とあるが、[6,500万m3]を [1,850k㎡]で割ると[3.5cm]となるが、洪水の水かさが3.5cm下がったとして、どれだけの被害軽減につながるのであろうか?と思ってしま う。

 「巨大ダム」をもってしても、「自然の猛威」の前では「ささやかな抵抗」に過ぎないのではないか?
 示された数字の単なる割り算に過ぎないが、そんな“シロウト計算”でも、「洪水を防止する機能」については「甚だ疑問」と言わざるを得ない。

■検証3…「八ツ場ダム」の目的(2)[利水] の有効性にも「疑問符」
 次に、『役割その2…増え続ける水需要を支える』  では、「首都圏を抱える利根川水系では水需要が逼迫、取水が不安定で2~3年に1回渇水が発生」しているが、「八ッ場ダムが完成すると、水道用水としては 茨城・群馬・埼玉・千葉・東京の147区市町村へ、工業用水としては群馬・千葉の14市町という広範囲に供給が可能」とある。

 また、「新規開発水量は、通年毎秒9.580m3」とあるが、これを年換算する約[3億]m3で、年間一人当たり水道使用量を[100]m3とすると[300万]人分となり、「相当な水量が開発される」と認められる。

 しかし、一方で、同HPの『深刻化する渇水問題』 では、「関東地方の主な渇水被害」の発生時期は夏期の7月~9月に多いが、一方で、「洪水期」(7月1日~10月5日)は大雨に備えてダムを空けておく必要があり、利水容量は非洪水期の9,000万m3に比べ洪水期は2,500万m3と“大きく減少”することとなる。
 どうも私には、ダムによる「治水と利水の両立」は“難しい”ように思われる。

■検証4…計画から半世紀が経つ「八ツ場ダム」は、まさに「不要不急な事業」
 また、HPには『事業の経緯』  として、「八ッ場ダムは昭和27年、カスリーン台風(昭和22年)の大被害をうけ、ダムを築いて洪水調節を行い被害軽減を図る治水事業として計画されまし た」とあるが、普通に考えると、「計画から半世紀以上経っても実現せずにいる」事業は、少なくとも「急」を要する事業ではあるまい。
 また、前述の「治水・利水の有効性」からみても、「不要」とは言わないまでも、その「有効性」について私は“疑問符”を付けざるを得ない。

 わが国の財政状況は深刻な状況が続き、国の借金も莫大となっている一方、国民の生活も賃金の低下や失業の増加で厳しさを増している中、「暮らしのための 政策」を犠牲にしてまで、「ダム建設」を優先するべきではないという“判断”は、先の総選挙の結果からみても、「国民の大多数の判断」であることは間違い なかろう。

 しかし、だからこそ求められるのが、「国民の大多数の利益」のために「不利益を蒙る」地元住民・自治体に対する「十分な配慮」である。

■検証5…「国の身勝手」に付き合わされ翻弄され続けた「地域住民」及び「地方自治体」
 ダム工事事務所HPの『事業の経緯』  を見ると、昭和20年代の「事業の構想開始」から昭和40年代の「調査から建設に移行」し、昭和60年代の「移転による生活再建への合意」を経て、近年の 「補償・代替地分譲調印」と、地域住民は、ほぼ20年ずつかけながら「計画反対」から「基本合意」、そして「移転調印」まで半世紀の年月をかけ、やっと “漕ぎ着いた”ところである。
 そんな矢先での「中止明言」である。「国の身勝手」に翻弄されるのは「もうこりごり」との思いであろう。

 一方、地元群馬をはじめとする1都5県はこれまで費やされた事業費3,210億円のうち1,985億円を負担している。
 先の総選挙の直前、全国知事会は「国の直轄事業の地元負担」を問題視していたが、事業中止となった場合、当然のことながら「国に負担金の返還を求める」と全ての知事が表明している。

■検証6…「継続」に係る費用と「中止」に係る費用の単純比較は“危険”
 さらに一部マスコミでは「継続より中止に係る費用が上回る」と報道されている。
 民主党がマニフェストで主張した「ダム中止」の“理屈”は、「暮らしのための政策への財源のための不要不急な事業の中止」であり、継続より中止の方が費用が上回るのであれば、「ダム中止」の“根拠”を失うこととなる。

 前原国交相は報道番組で「中止の場合、自治体がこれまで拠出した負担金を治水費も含め返還を検討する」との考えを明らかにしたようだが、その場合、1都5県がこれまで負担した総額1,985億円を返還することになる。
 さらに今後執行を予定する事業費1,390億円のうち生活再建関連770億円についてはある程度必要となる。これを単純に比較すると、継続:1,390億円に対し中止:1,985億円(プラス生活再建費)となり、中止の方が費用が上回ることとなる。
 
 しかし、自治体に返還される1,985億円は、当然のことながら「地域主権」に基づき、自治体の判断に基づいて使われることとなる。これを自治体が「暮らしのための政策への財源」に回さないと決め付けるのは「失礼」ではあるまいか。

 また、事業を継続した場合の「完成後」の維持管理費は明らかになっていない。「反対派」住民などからは「地すべりの危険性」も懸念されているという。現 時点における継続に係る事業費1,390億円と中止に係る返還額1,985億円の単純比較だけで結論の出せる問題では、当然あるまい。


■結論…“新政権”が為すべきは、「地域住民に対する“遺憾の表明”」と「中止のための“新たなシステム”作り」
 以上を踏まえ、今後“新政権”が「何を為すべきか」について、私見を述べていきたい。
 先の総選挙で民意に基づく「政権交代」により「国」を代表する立場となった新政権の鳩山総理・前原国交相が、まず真っ先にしなければならないことは、 「民意」に基づく「ダム中止への方向転換」により多大な影響を蒙る地域住民・自治体に対し、(身勝手な?)「国」を代表して「遺憾の意」を表明することで はないだろうか。その上で、今度は「ダム中止への基本合意」に向けた話合いのテーブルに載って貰えるよう、誠意を持って対応していかねばなるまい。

 また、関係自治体に対しては、国の直轄事業に都道府県が負担することの是非とともに、「国の都合」で事業を中止した場合の支払済みの負担金の「返還のあり方・手法」についても、併せて考えて「新たな道」を作り出していかなければなるまい。
 これは「地域主権」をマニフェストに掲げたて誕生した“新政権”にとって、避けて通れない「国民との約束」な筈である。

 さらには、事業中止による関連業界・従事者への「配慮」も必要である。
 国土交通省は、9月11日から予定していた入札を一時凍結したが、ダム工事で生計を立てている建設業者およびその従事者にとって「ダム中止」は、文字ど おり「死活問題」である。「国民の暮らしを守る」ことをマニフェストに掲げて総選挙に勝利した“新政権”にとって、建設業従事者の「生活を守る」ことも、 同様に“最優先”されるべき事項であろう。

 「ダム中止」に基づく地域住民の「新たな生活再建計画」の検討とともに、公共事業に代わる「新たな地域の振興策」についても、国・国土交通省として“腰を据えて”取り組み、建設業従事者の「新たな仕事への転換」の検討も進めていく必要がある。

 以上に掲げた事項は、多分、これまで国・自治体が経験したことのない取り組みであろう。
 「事業継続」に比べクリアすべき問題点は格段に増すこととなるが、「国民主権への歴史的転換」への“民意の選択”により誕生した“新政権”である。「国 民との約束」を果たすため、この“茨の道”に怯むことなく突き進んで行って欲しいと、「政権交代」に期待し“新政権”に一票を投じた者として、切に思うの である……。


【追記】
 この原稿を書き上げようとしていた9月21日の22時過ぎ、ネットのニュースで、「前原国交相は21日、「建設事業を中止する方針は変わらない」とした 上で、「中止に向けては最大の被害者ともいえる地元住民や関係都県、利水者などとの合意形成が不可欠」との認識を示し、「じっくりと話し合う姿勢を堅持 し、生活再建事業も中断しない」とのコメントを発表した、と報道された。

 「政権公約の実現」と「地元の意向」とのはざ間で、国交相の動向が注目されていたが、“及第点”と思われる対応に、まずは「ほっと胸をなでおろした」ところである。
 
 「国民の大多数の利益」のために「不利益を蒙る」地元住民・自治体に対する「十分な配慮」を行いながら、「政権公約を実現」する難しさを、“新政権”政府はもとより、マスコミ、そして国民自身が認識し、ある程度「長い目」を持って臨む必要があるのではないか?

 「脱官僚・国民主権への歴史的転換」は“一朝一夕”では終わらないのだから……。

【いま八ッ場ダム議論にもとめられる冷静な判断】~マスコミが煽る感情論ではなく科学的な論点整理を~成瀬裕史2009/09/22

果てしないダムダムダムダムダムダムダ! 

チャンネルによっては、相も変わらずいまだ、「ここまで造ったのに(怒!)」「裏切られた地元住民の怒り(泣!)」といった、「報道」というよりは「メッセージ」と思えるようなを放送を繰り返していますが、2009年9月23日の千葉市長ブログ「八ツ場ダムを巡る報道に違和感」で熊谷氏が発言された、
「既に7割完了している」や「返還金が発生して結局は費用が増となる」など報じられていますが、本当の判断材料は「そもそもこのダムの目的である治水と水源確保が必要なのか?」ということに尽きるはずです。
必要であれば建設すべきですし、必要でないなら建設すべきではない、これだけのはずです。マスメディアには是非その点を取材して突き詰めて欲しいと思います。
(中略)
「ここまで費用を投入したからもったいない」
というのは投資判断として最も避けるべき発想です。

これは全くおっしゃる通りです。(千葉市長の日記→全部読む
さて、ダムの果てしなく連鎖する不毛な工事について、保坂のぶとさんの「保坂展人のどこどこ日記」の2009年09月23日記事、「八ッ場ダム、とめどなく溢れる思考停止報道」から抜粋させていただこう。

八ッ場ダム事業こそ総事業費と関連事業費をあわせて9000億円という究極の無駄な事業である。そもそも、草津温泉上流の強酸性の水質は、飲用には適さな い。このダムが計画された頃、「酸性なら中和すゃいいじゃないか」という自然征服思想そのものの発想で当時の建設省は草津温泉に中和工場を建設した。中和工場と は簡単で酸性の川に「石灰」を投下していって、水質を中性化するもの。しかし、中学校の理科(小学校だっけ)で習うように、酸性の水を石灰で中和するとド ロドロの石灰生成物が出来るということを思い出そう。だから、この中和生成物(ヘドロ)を貯めておくダムが必要だと品木(しなき)ダムがつくられた。 1963年(昭和38年)に中和工場が完成し、1965年(昭和40年)にはこの品木ダムが完成している。

品木ダムと は、この世のものとは思えない「エメラルドの湖」である。深さ40メートルのダム湖には中和生成物と土砂が溜まり、7~8メートルの水深になってしまい、 1985年(昭和60年)から石灰浚渫船を湖面に浮かべて一日60トンの中和生成物と土砂のヘドロを浚渫している。これを脱水・圧縮する工場が建設され、 またダンプが横付けされて山に捨てにいくといことが営々と続けられている。

こうして無理やり中性化して吾妻川は魚の生息出来る環境になったというのが国土交通省の自慢である。しかし、そもそも何のために中和事業(年間10億円) が発案されたのかと言えば、八ッ場ダムを建設し「首都圏の水ガメ」とするためだった。ところが、この「利水」についてはまったく需要がなく、現在ではダム 建設目的から外れている。このダムは「治水」のために50年かけてつくられようとしているが、実は防災上ダムの存在が水害をもたらす危険性が高いことが従来から指摘されている。
(→この記事を全部読む)

つぎは熊木秀夫さんがJANJAN 2009/09/18に書かれた記事、「八ッ場ダムを私なりに考える」からの抜粋です。

――俺たちがいくらがんばってみたところでダムは5年も経てば、土砂が溜まり、計算したように貯水量をためておくことができないから、それを取り除かねばならない。そのためにも、ダムの周りに大型ダンプが土砂を運ぶための道路や置き場の設備などに予定以上の工事があるが、それとて永久じゃない。土砂をどこへ捨てるかで、新たな問題が発生している。建設省はダムを作る仕事に熱を入れているが、アメリカはもう10年の前からダム建設は無駄が多い、とやめている。

 そのためかどうか知らないが、付近の津久井湖や相模湖への導水管を地下に建設する工事も併行しておこなわれていた。ダムに落下する土砂のために当初の目的が果たせないことは、国会でも問題になったことがある。

(中略)

 また「ダムを作ることで儲ける共同企業体は、建設省の指導で熱心だ。少しでも設計が違えば鬼の首でも取ったように役人は騒ぎ立てる。それというのも建設官僚の天下り先だからだ」といっていた。事実、私の仕事期間は、当初予定の3ヶ月が1年半にもなって、誰もいない事務所の留守番の方が長かった。

 その後、分かったことは、海水と違って湖水の水深が150mもあると酸欠状態になり、魚が棲めなくなる。確か、相模湖ではこれを解決するために細長い網のパイプを作り、その中に炭を入れて酸欠を解決する実験が行われていた。
→記事を全部読む

================
さて、「ここまで造ったんだから、地元住民のために無駄でも建設すべき」と、あなたも思いますか?

「軟弱地盤なんざ筋書き通りさ」by国交省? 

本日も大野ブログよりの転載。
ある意味「なんだ、やっぱりね」という印象の構図だ。あれだけ合理性のないダムを造ろうとするのはやっぱりこういう「裏」があるという話。

【八ッ場ダム:天下りのあきれた構図】(「大野ひろみの県県GO!GO!」2009/09/24より転載)
今日の「きっこのブログ」に次のような指摘がある。
------------------------------
八ッ場ダムの建設に関わっている7つの公益法人と13の民間企業には、そのすべてに合計で46人もの国交省の天下りがいる。
「天下りの天下りによる天下りのための公共事業」であり、ダムが計画通りに建設されれば、これらの公益法人と民間企業には巨額の予算が流れ込み、天下りたちの下にいる県議や町議らにも莫大な「おこぼれ」がある。(きっこのブログ 2009年9月24日)
http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=338790&log=20090924 
------------------------------

これで思い出したのが、2年前に横田一さんが週刊金曜日に書いた記事だ。
当時は、今や懐かし「福田首相」のときであり、参議院議員大河原雅子さんが国会質問で、「八ッ場ダムを福田ダムと呼ばせてもらう」と発言、首相をむっとさせ、拍手喝采を浴びた。

福田首相のお膝元、群馬県の長野原町に計画された八ッ場ダム。彼のお父さん、 福田赳夫元首相が強力な推進派だったことから、地元ではもっぱら「福田ダム」と呼ばれてきたそうな。

ダム工事は、ダム本体だけでなく、工事用取り付け道路や付け替え道路、橋げたなど、いくつもの関連工事がある。それらの工事の落札業者・落札金額、及び、国交省から落札業者への天下り数などを資料請求したのが、当時の長妻衆議院議員。

長妻さんは何度も国交省に資料請求したが、なかなか出てこなかったという。それもそのはず、ようやく出てきた資料を見て、あまりの「天下り」ぶりに仰天。これじゃあ、国交省も出し渋るなと納得したという。
以下がその一覧表であるが、ダム工事を落札している37社の企業に52人、7つの公益法人に25人、実に合計77人が国交省から天下っていたのである。(平成15年~17年) 

天下り   

絵に描いたような「政官業癒着」である。八ッ場ダムの建設は、国交省OBの天下りのためという側面も持ち合わせていたのだ。
今地元で繰り広げられる民主党への徹底抗戦の背後には、こうした思惑が見え隠れする。次のような元官僚の言葉も紹介されている。

「国 交省に限りませんが、官僚の最大の関心事は天下りです。だから、『費用は低めに、効果は水増しする』という常套手段(情報操作)を使って無駄な公共事業を 正当化し、着工にこぎつける。後は『予想外に地盤が軟弱だった』などと言い訳して事業費を膨らませればいい。工事さえ始めれば、請負業者がふえ、天下り先 も次々と出来るという計算なのです」

まさに八ッ場ダムがその典型!
当初2110億円とされた事業費は、2倍以上の4600億円に増額され、工期も2度延長された。これから嵩む「地すべり対策」(1000億円)、東京電力への減電保証(数百億円)そして、起債の利子などを入れると、1兆円ですまない可能性も出てくる。

また、当時の国会で福田首相に、「八ッ場ダムに関する国交省の徹底的な情報開示と、厳格な事業の検証」を厳しく迫ったのが、誰あろう前原誠司議員だ。その前原氏が今は国交大臣となって、八ッ場ダム中止を決然と表明する。つくづく、時代が変わったことを痛感する。

「自社さ政権のときに前原氏は八ッ場ダムを承認したではないか」などと、鬼の首を取ったように叫ぶ声もあるが、国交省とゼネコンの癒着を放任し、無駄なダム事業を何ら検証もせずに進めてきた自民党関係者の方々から、そんなことを言われる筋合いはない。
鬼の首を取る前に、ご自分の首を洗って待っていたほうがよいのでは?

八ッ場ダム 「地元住民」っていったいダレ? 

連日繰り返させる報道に出てくる「地元住民」
あたかもこの地域に住む人全員の総意を代表するように伝えられているが、はたしてホントにそうなのか?
「客観的な報道」という点でどうもバランスを欠く報道が続くように思うので、あえて現在の報道で盲点になっている部分を指摘してみました。


【八ッ場ダム 地元住民とは一体誰なんだ?】(「大野ひろみの県県GO!GO!」2009/09/24より抜粋)

今日、前原国土交通大臣が八ッ場ダム予定地を訪れたというニュースが、テレビで大きく報道されている。

前原大臣は、群馬県知事や長野原町長などと会い、「地元の皆さまにはご迷惑をおかけし、申し訳ございません」と頭を下げる姿が映し出された。

地元の住民との話し合いが予定されていたが、「中止撤回」を表明しない大臣とは会えないとして住民からボイコットされ、委員長という肩書きの「地元代表」が、中止を撤回するよう要請文を手渡すだけに終った。

しかし、今日の前原大臣の現地視察の日程や、「地元有力者」によるボイコット地元の一般住民には知らされていなかったと言う。
よく気をつけてテレビを見ていると、画面に出てくる「地元住民」というのはほとんど同じ人たちだ。ボイコットした人たちも、この人たちだ。

ダム建設の話が起きてから50数年。
激しい反対運動が国によって切り崩され、「ダムありきの地元再建策」で懐柔されていく中で、絶望し、あるいは疲れ果て、あるいはダムに疑問を抱いて多くの住民が地元を離れて行った。
この人たちには「補償費」は一切払われない。

ちなみに、この「ダムありきの地元再建策」を提示した国は、手の平返しを連発し、たびたび住民を裏切って今に至っている。
住民を翻弄し、苦しめてきたのは、他でもない、今いかにも住民側にたっているように見せている自民党と国交省だったではないか。

今夜の10チャンネル「報道ステーション」で、われらが嶋津輝之さんが登場。
「地元からは、『ダムはないほうが良い。故里の自然を壊してほしくない。』という声も多く寄せられている。そういう声なき声が、圧力によってなかなかオモテに出てこない
と指摘した。
マスコミや推進派が「地元住民」と言う場合、それが全てを代表するわけでは決してないのだ。
地元住民とは一体誰なんだ!


2009年9月24日 東京新聞朝刊「八ッ場ダム問題『配慮欠いた』 国交相、政策変更を陳謝」の解説で
問題がこじれた背景には、長年の反対闘争の末に住民が建設を受け入れたという八ッ場ダムの複雑な経緯や、自民党が圧倒的な勢力を誇る地元で、ダム事業の是非がほとんど検証されてこなかったことがある。

 群馬県は、戦後四人の首相を輩出した“自民王国”。ダムの必要を訴える首長や議員が圧倒的多数を占める中で、民主党は少数派にすぎず、“中止論”が大きな声となることはこれまでなかった。(→全部読む)
と指摘している。

地元住民にとって、今、冷静にダムを検証する、検証し尽くすことこそ、地域の未来にとって最重要事項ではないだろうか?

毎日新聞 9/23社説の金額の間違い 

【毎日新聞 9/23社説の金額の間違い】(「八ッ場ダムをストップさせる埼玉の会」2009/09/23 by 嶋津 暉之 より転載)

 八ッ場ダム問題に関 する今日の毎日新聞の社説の論調はその通りだと思いますが、「中止の場合は、自治体の負担金約2000億円の返還を迫られ」「単純に考えれば、このまま工事を進めた方が得である。」という記述は事実と違っています。この2000億円には利水負担金と治水負担金の両方が入っています。

 利水予定者が今までに支払った利水負担金1460億円には、厚生労働省と経済産業省からの国庫補助金が含まれていて、それを除くと、890億円です。なお、この負担金は特ダム法に基づくものですが、特ダム法には返還の必要が明確に書かれているわけではありません

  また、関係都県が今まで支払った治水負担金525億円は河川法に基づく直轄負担金(橋下大阪府知事が問題視したもので、ダムの場合は3割負担)であって、 返還するような法的な根拠は何もないから、返還を求められるものではないと思います。今まで道路等などの直轄公共事業が中止されても返還されたことはな く、八ッ場ダムの中止についてもしこの返還の話が出れば、今までに中止した直轄公共事業の全部に波及することになるから、国交省はこのことには触れること はできないものです。

 さらに、この社説で抜けているのは、このまま八ッ場ダム事業を継続すれば、地すべり対策や東電の発電所への減電補償、工事予算の追加で1000億円程度の増額が予想されることです。

 これらのことを踏まえると、八ッ場ダム事業は中止した方が継続するよりもはるかに無駄な国費の支出をなくすことができるのです。

毎日jp 2009年9月23日 
鳩山政権の課題 八ッ場ダム中止 時代錯誤正す「象徴」に
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20090923ddm005070074000c.html

社説【鳩山政権の課題 八ッ場ダム中止 時代錯誤正す「象徴」に】(毎日新聞 2009年9月23日)

 民主党の政権公約通り前原誠司国土交通相は、群馬県の八(や)ッ(ん)場(ば)ダムの建設中止を表明した。23日に建設予定地を訪ね、意見交換会を開く方針だ。計画から半世紀以上、住民を翻(ほん)弄(ろう)し苦しめてきたことを謝罪するとともに、中止の理由について意を尽くして説き、不安を取り除くのは政治の責任である。そのうえで、時代にあわない大型公共事業への固執がどんな問題を招くかを広く知ってもらい、こうした時代錯誤を終わりにすることをはっきり示す「象徴」としてほしい。

 治水と利水を兼ねた八ッ場ダム計画は、1947年の台風による利根川決壊で浮上した。吾妻川沿いの温泉街をはじめ340戸の水没が前提で、首都圏住民のための犠牲を強いられる地元に激しい反対運動が続いた。苦渋の末、地元が同意に傾いたのは90年代に入ってからだ。時間がかかったため事業費は当初の2倍以上の4600億円に膨らんだ。

 この間、首都圏の水需要は減少傾向にあり、洪水対策としてのダムの有効性に疑問が示された。しかし、そもそもの目的が疑わしくなり、悪影響が指摘されながら完成した長良川河口堰(ぜき)、諫早湾干拓、岐阜県の徳山ダムを追うように、ダム湖をまたぐ高架道路、移転住民のための用地造成などが進み、ダム本体の着工を残すだけになった。まさに「いったん動き出したら止まらない」大型公共事業の典型である。こうした中で、公共事業の全面的な見直しを政権公約に掲げた民主党が政権を握った。八ッ場は最初の一歩である。

 これに対して利水・治水のため建設費を負担してきた1都5県の知事は「何が何でも推進していただきたい」(大澤正明・群馬県知事)などと異論を唱えている。すでに約3200億円を投じており、計画通りならあと約1400億円で完成する。中止の場合は、自治体の負担金約2000億円の返還を迫られ、770億円の生活再建関連事業も必要になるだろう。ダム完成後の維持費(年間10億円弱)を差し引いても数百億円高くつく。単純に考えれば、このまま工事を進めた方が得である。

 だが、八ッ場だけの損得を論じても意味はない。全国で計画・建設中の約140のダムをはじめ、多くの公共事業を洗い直し、そこに組み込まれた利権構造の解体に不可欠な社会的コストと考えるべきなのだ。「ダム完成を前提にしてきた生活を脅かす」という住民の不安に最大限応えるべく多額の補償も必要になるが、それも時代錯誤のツケと言える。高くつけばつくほど、二度と過ちは犯さないものである。

八ッ場ダム: 費用便益とは何ぞや? 

【八ッ場ダム: 費用便益とは何ぞや?】(「大野ひろみの県県GO!GO!」2009/09/21記事より引用転載)

 昨日の朝日新聞の2面「ダム見直し賛否噴出」という記事で、「費用便益」という
数字が出ている。「ヒヨーベンエキ? 何、これ?」と思う方は多いだろう。
 
費用便益とは、費用対効果を数字で表すもので、道路やダムなど主に公共事業に
使われる。もっと平たく言えば、「この工事は、これだけコストをかけてもペイするか?」、
つまり、工事の必要性を図る指標であり、数字が高いほど、「ペイする」ことになる。
 
で、国交省発表の八ッ場ダムの費用便益は 3.4
 
湯西川ダム(1.5)や、霞ヶ浦導水(1.2)に比べて頭抜けて高い数字だ。
数字だけ取り上げれば、「ほら、やっぱり八ッ場ダムは必要じゃないの」となる。
 
が、お立会い。これこそ数字のマジック。引田テンコーさんもびっくりのタネも仕掛けも
テンコ盛りの「まやかし手品」なのだ。
 
◆国交省が「3.4」とする根拠
「八ッ場ダムができると、吾妻川の流量が一定化し、吾妻渓谷の景観が改善される。」
◆反論
八ッ場ダムができると、吾妻渓谷の上流は破壊されてダム湖の底に沈み、ダムの下流
の渓谷も、そびえ立つダムで景観がさえぎられ、岩が苔むして見るも無残な姿になる。
渓谷は、時々洪水で岩肌を洗われることで美しさを保っている。
すぐ近くにある三波石峡は昔は有名な美しい渓谷だったが、下久保ダムが作られたあと、
岩にコケや草が生えてしまい、今は見る影もない。
 
◆国交省「八ッ場ダムは洪水を大幅に減少させる」
◆反論
 国交省は、「利根川の氾濫は上流と下流とで同時に起き、堤防がこわれ、首都圏が
 一気に洪水に襲われる」としているが、こんなこと現実に起きるはずがない。
 実際の洪水では
 上流ブロックで氾濫すれば、洪水の一部が外に逃げて水位が下がるため、
 下流ブロックでの氾濫は起きにくくなる。
 お役人は机の上で考えるから、「上流と下流が全て同時に氾濫する」などという
 珍現象を思いつくのだろう。幼稚園の子どもでも、水は高いところから低いところへ
 時間をかけながら流れることを知っている。
 
ちなみに、国交省は2007年12月の事業評価では、費用便益を「2.9」としていたが、
なぜか1年後には「3.4」に引き上げた。よほど数字の裏づけがほしかったようだ。
どちらの数字も疑問だらけなので、「八ッ場あしたの会」から国交省八ッ場ダム事務所に
今年6月2日に公開質問書を送ったが、3ヶ月以上経った今も、回答はなし。
タネも仕掛けもトッピ過ぎて、国民には知られたくないのでしょうね。

 

以上のもっと詳細な説明は以下のリンク(八ッ場あしたの会)でご覧いただけます。
 
国交省八ッ場ダム事務所への公開質問書

費用便益計算の矛盾についての解説
 「八ッ場ダムによる吾妻渓谷の景観改善(事業評価の問題点)」
「洪水についての問題点」

 「八ッ場ダム事業の費用便益計算の問題点について(その2)


八ッ場ダム  大河原さんかく語る 

【八ッ場ダム  大河原さんかく語る】(「大野ひろみの県県GO!GO!」2009/09/2より転載)
今朝の朝日新聞に、民主党参議院議員大河原雅子さんの八ッ場ダムに関する意見が大きく載せられた。全く、胸のすくような正論である。
 
大河原さんとは「八ッ場つながり」のおつきあい。彼女がまだ東京生活者ネットワークの都議だったときから、八ッ場ダム反対運動を東京と千葉で、一緒にやってきた。
八ッ場に続いて中止が浮上している栃木県の「思川開発(南摩ダム)」の視察に、数年前、宇都宮大名誉教授の藤原信先生の案内で千葉県グループが行ったが、そのときも大河原さんは同行し、ダム開発の不条理さを論じ合った。
 
長年の苦労が実り、ようやく八ッ場ダム中止が現実のものとなったが、一度進み始めた公共事業を止めるには、抵抗も大きい。その「抵抗」を和らげる意味でも、今回の大河原さんの意見は大変意義のあるものなので、以下全文をご紹介します。

---------------------------*-----------------------------*----- 

 【公共事業見直すモデルに】  大河原雅子
  09年9月20日朝日新聞

 


八ッ場ダムというと決まって引き合いに出される、あの十字架のような道路橋脚の写真。

八ツ場 道路橋脚 

まるで建設予定地がそのまま廃墟になってしまうかのようなイメージを与えますが、ダム建設の中止と言うのは、そういうことではありません。
 
利 水の面でも治水でも、八ッ場ダムが不要不急であることは明らかです。それを完成させるとすれば、わざわざお金をつぎ込んで不必要なものを造ることになる。 7割までできていると国土交通省は説明していますが、これまでに予定事業費の7割のお金を使ったというだけのこと。(大野注:事業の進み具合は全体でまだ 2割弱) 
建設費は起債でまかないますから、利子も含めれば総事業費4600億円は2倍近くにも膨らみます。幸いなことにダム本体の工事には至っていない。
止められるものは、いま止めなければならないのです。
 
し かし、これまでに進められてきた道路や鉄道などの関連工事は、地元の思いをくんで見直すか継続するかを決めなければなりません。ダム建設を前提に50年も の間、地域のためにお金が使われてこなかったのですから、必要なものはこれからきちんと造る。あの写真の橋にしても、街の再生に必要なら造る決断をする。 そういうふうに公共事業を国民の手に取り戻すためにも、八ッ場は全国のモデルになるのです。
 
私は93年に東京都議になり、利根川 下流域の受益者の立場から、また東京の地下水を守る立場からも、八ッ場ダムの建設中止を求め続けてきました。東京都は多摩地区で中型ダム一基分の地下水を 毎日水道用に使いながらも、正式な水源としては認めず、過大な水需要予測はそのままに水余りの現状に目をつぶっています。
 
反対運 動に疲れきり、やむなく建設受け入れという苦渋の決断をした地元の人たちを犠牲にしてまで、私たちは水を必要としているのか。首相を戦後4人も出した群馬 県にありながら、半世紀をかけても完成に至らないこと自体、いったい誰のための公共事業だったのかという疑問を投げかけます。
 
これまでの政官業癒着の中では、ダム建設を止めようという発想は出て来ようもなかった。しかし政権が変わり、中止が決まりました。生活を守るために、いったんは我慢してダムを受け入れた人たちも、本当は公共事業の犠牲者であることに我慢しきれてはいないでしょう。
 
今後は地元のみなさんに、ダム建設という前提なしの町づくりを、しっかり議論していただける環境をつくることが大切です。そのために私たちは、生活再建支援のための特別措置法を準備しています。

最低限のことを国が保証した上で一人ひとりに頑張れと言うのならともかく、最低限の保証もないまま頑張れと言われたのが八ッ場の人たちが置かれた状況でした。公共のために犠牲になれというより、犠牲を出さない公共事業を目指すべきです。
 
八ッ 場ダムの中止決定は、地元だけの問題ではありません。ここまでに費やされた事業費は捨て金になるかも知れないけれど、私たちも授業料を支払うべきです。こ れが教訓になって、ほかの地域のずさんな公共事業も止まるでしょう。八ッ場の経験はお金の問題以上に、国土と市民の心を荒廃させない大きな役割を担ってい ると思います。

検証ウソ or ホント?【みんなの八ッ場 パーフェクトガイド】 

八ッ場ダムの建設中止と生活再建への取り組みについて
2009年9月16日
八ッ場ダムをストップさせる千葉の会

 八ッ場ダム事業の中止をマニュフェストにうたった民主党が国民の圧倒的な支持を受け、民主党を中心とした新政権が9月16日から動きだしました。
 
 この情勢の中で国土建設省や、協調して八ッ場ダムを推進してきた自治体の首長、現地住民の一部の方々から、ダムの完成を求める意見が出されています。
 この意見には、事実に基づかないもの、事実を隠しているものなどが見られ、報道の中にも同様な情報を主張している箇所が見られます。
 これらについて正しい情報を明らかにして皆さんのご理解をいただき、ダムによらない治水、利水を確立させること。
 また、地元住民の皆さんの生活再建と地域振興策について提言し、過去50年にわたって国の政策に翻弄されてきた地元住民の皆さんの痛みを共有し、住民同士の視点から共に追求していくことを願って取りまとめたものです。
 多くの皆さんのご利用を願っています
▶▶▶【みんなの八ッ場 パーフェクトガイド】PDF版ダウンロードはこちら(無料)
パーフェクトカバー


 八ッ場ダムについて流されている情報の誤り

各都県知事や国交省から主に次のような情報が流されていますが、いずれも事実に基づくものではありません。それぞれの誤りは別紙のとおりです。
  1. 八ッ場ダム事業は継続したよりも中止した方が高くつく。
  2. 八ッ場ダムはすでに7割もできているので、今さらストップできない。
  3. 八ッ場ダムの暫定水利権がダム中止に伴って失われる。
  4. 大渇水到来のために八ッ場ダムが必要。
  5. 八ッ場ダムは利根川の治水対策として重要。
  6. さらに、八ッ場ダムの中止に対して地元の町とダム予定地から強い反発が出されていますので、そのことを踏まえて考慮すべき事実と今後取り組むべきことを「Ⅵ.ダム予定地の生活再建と地域の再生について」として別紙のとおり、整理しました。



 I. 八ッ場ダムを中止した方が高くつくという話の誤り

1 八ッ場ダムを中止した方がはるかに安上がり
(1) 事業費の再増額は必至

八ッ場ダム建設事業の事業費は4600億円(水源地域対策特別措置法事業と水源地域対策基金事業も含めると、約5900億円)とされているが、ダム事業を継続すれば、ダム完成までに事業費の大幅増額は必至である。増額要因としては(3ページ参照)、東京電力への多額の減電補償(吾妻川の大半を取水している5つの発電所への発電減少分の補償)が残されていること、貯水池予定地の周辺で地すべりの危険性がある場所が22箇所もあるため、大滝ダムや滝沢ダムの例に見るように、新たな地すべり対策費が膨れ上がる可能性がきわめて高いこと、関連事業の工事進捗率がまだ非常に低く、完成までにかなりの追加予算が必要となる可能性が高いことなどがある。

(2) 継続した場合と中止した場合の今後の事業費の比較
八ッ場ダム事業を継続した場合は上述の要因によって1000億円程度の事業費増額が必要となると予想される。仮に1000億円とすれば、八ッ場ダム建設事業の今後の公金支出額は残事業費1390億円+1000億円=2390億円となる。
一方、中止した場合の必要事業費は国交省が示す生活関連の残事業費770億円程度である。
したがって、中止した方が差引き1620億円も公金支出を減らすことができる。
みんなの八ッ場図版1
2 利水負担金の返還について
(1) 利水負担金についての正しい話
国交省は、ダムを中止すれば、利水予定者が今までに負担した約1460億円を返還しなければならないとし、都県知事もそれに呼応して返還を要求すると主張しているが、二つの点でこの話は間違っている。
第一はこの約1460億円の中には水道事業および工業用水道事業への国庫補助金(厚生労働省と経済産業省からの補助金)が含まれており、それを除くと、6割の約890億円である。利水負担金の問題は国庫補助金も含めた数字が罷り通って話が一層大きくなっている。
第二に、特定多目的ダム法および施行令ではダム事業者が自らダムを中止した場合は想定されておらず、利水予定者への全額返還は明記されていないことであるから、利水負担金をどのように取り扱うかは今後の検討課題である。不要なダム建設を推進してきた責任は利水予定者側にもあり、さらに、今回の総選挙で多数の有権者が八ッ場ダムの中止を求めたのに、あえて返還を求めることは民意に反することでもある。
みんなの八ッ場図版2
(2) 利水負担金を仮に返還した場合は?
ダムを中止して利水負担金を仮に利水予定者に返還した場合、今後の国費支出額は次のようになる。
国交省は今後の国費支出額を利水負担金返還額約1460億円+生活関連の残事業費約770億円=約2230億円としているが、1460億円には上述の国庫補助金が含まれているから、国交省の数字は誤りである。
正しくは、利水負担金返還額約890億円+生活関連の残事業費約770億円=約1660億円が今後の国費支出額である。
利水負担金を返還しても、事業を継続した場合の公金支出額約2390億円より約730億円小さい金額になる。
みんなの八ッ場図版3
(3)利水者負担金の返還は公会計内の話
しかし、利水者負担金の返還は公会計内での国と地方の負担割合のことであって、公金支出額の総額、すなわち、国民の負担額が変わるわけではないから、本質的な問題ではない、
1で述べたとおり、ダムを中止した方が、公金支出額がはるかに小さくなるのであって、広い視点から見て無駄な公費の支出をなくすため、ダムの中止が必要である。
治水分の直轄負担金について
関係都県は利水負担金の他に八ッ場ダム事業の治水分として平成20年度までに526億円負担してきているが、これは河川法に基づく直轄事業負担金であって (ダムの場合は3割負担)、返還するような法的な根拠は何もないから、返還を求められるものではない。これは橋下徹大阪府知事が問題視した直轄事業負担金 である。今まで道路等などの直轄公共事業が中止されても返還されたことはなく、八ッ場ダムの中止についてもしこの返還の話が出れば、今までに中止した直轄 公共事業の全部に波及することになるから、国交省はこのことには触れることはできない。

貯水域周辺での地すべりの危険性
八ッ場ダムの貯水池周辺で地すべりの危険性があるところは22ヵ所。
地すべり対策が実施されるのはわずか3ヵ所だけで,簡易な対策。
八ッ場ダム貯水域の周辺、右の方はダムサイトみんなの八ッ場図版4  
○が地すべりの危険性があるところを示す。

大滝ダム(奈良県・吉野川、国交省)
  • 2002年8月にダム堤体が完成
  • 試験湛水で白屋地区で地割れが発生し、38戸が全戸移転
  • その後も大滝地区と迫地区でも地すべりの危険性が判明
  • 現在、対策工事中
  • 地すべり対策の工事費308億円
  • 現段階での完成予定 2013年3月
東電への巨額の減電補償
八ッ場ダムに水を貯めるためには、吾妻川にある東京電力㈱の水力発電所への送水量を大幅に減らす必要がある。
⇒ 巨額の減電補償(数百億円)が必要(減電量の試算結果年間22,400万kWH)
八ッ場ダム予定地より下流にある吾妻川の発電所の合計最大出力97,400kW
吾妻川の水力発電所みんなの八ッ場図版5
八ッ場ダムの県営発電所の計画
発電力:最大11,400kW
年間発電量:4,099万kWH
八ッ場ダムによって吾妻川の全発電量は大幅に減少する。

 Ⅱ 八ッ場ダムはすでに7割もできているという話の誤りについて

1 工事の進捗は大幅に遅れている
7割というのは、八ッ場ダム建設事業の事業費4600億円のうち、7割が平成20年度までに使われたということであって、工事の進捗率とは全く別物である。本体工事は未着手である。関連事業のうち、規模が大きいものは付替国道、付替県道、付替鉄道、代替地造成であるが、平成20年度末の完成部分の割合はそれぞれ6%、2%、75%、10%であり、まだまだ多くの工事が残されている。付替鉄道は75%まで行っているとはいえ、新・川原湯温泉駅付近は用地未買収のところがあって、工事の大半はこれからであるから、完成までの道のりは遠い。
みんなの八ッ場図版6 みんなの八ッ場図版7

2 完成が平成27年度末よりも大幅に遅れることは必至
八ッ場ダムの完成予定は平成27年度末で、今年度後半から本体工事着手となっているが、実際の完成は大幅に遅れる可能性が高い。八ッ場ダムの場合、ダムサイト予定地を国道と鉄道が通過しているので、付替国道、付替鉄道を完成させ、現国道と現鉄道を廃止しないと、本格的なダム本体工事をはじめることができない。この付替国道、付替鉄道の工事が用地買収や地質の問題で大幅に遅れているので、事業が継続されても、ダムの完成は平成27年度末より大分先になることは確実である。
上流←ーーー
みんなの八ッ場図版8
 Ⅲ 八ッ場ダムの暫定水利権がダム中止に伴って失われるという話の誤り

1 八ッ場ダムの暫定水利権は長年の取水実績があり、支障を来たしたことがない。
八ッ場ダムの暫定水利権とは、八ッ場ダムの先取りの水利権として暫定的に許可された水利権のことで、そのほとんどを占めるのが埼玉県や群馬県などの農業用水転用水利権の冬期の取水である。農業用水を転用した水利権であるから、冬期は権利がないとされ、八ッ場ダム事業への参加で冬期の水利権を得ることが求められている。しかし、これらの農業用水転用水利権は夏期も冬期も長年の取水実績がある。古いものは37年間も取水し続けている。その間、冬期の取水に支障を来たしことがない。

埼玉県の農業用水転用水利権
農業用水合理化事業水利権
(万m3/日)
完成年取水実績
農水合理化一次18.1 197237年
農水合理化二次13.2 198722年
埼玉合口二期31199514年
利根中央事業24.820027年
87.1--- ---

冬期は暫定水利権とされているが、長年の取水実績があって、取水に支障をきたしたことがない。

2 利根川の冬期は取水量が激減するので、水利用の面で余裕がある。
利根川の冬期は夏期よりも流量が少ないが(冬期の晴天日の流量は夏期の6割程度)、農業用水の取水量が激減するので(冬期の都市・農業用水の全取水量は夏期の3割程度、左下の図)、水利用の面でも十分な余裕がある。それを反映して、利根川では冬期の渇水はきわめてまれである。過去において冬期に取水制限が行われたのは平成8年と9年の冬だけである。その取水制限率は10%であって、ほとんど自主節水にとどまっており、生活への影響は皆無であった。平成8、9年当時と比べて現在は首都圏の保有水源が増えていることと、取水量が減少してきていることもあり(右下の図)、八ッ場ダムなどなくても、埼玉県水道等の農業用水転用水利権が冬期の取水を続けることに何の問題もない。
みんなの八ッ場図版9

3 ダム中止後も継続される暫定水利権
今まで数多くのダムが中止されてきている。その中には、中止されたダムの完成を前提とした暫定水利権がそのダムの利水予定者に許可されていたケースがあるが、ダム中止後にその暫定水利権が消失することはなく、そのままの使用が認められている。具体的な例としては、徳島県の細川内ダムや新潟県の清津川ダムがある。両ダムとも国土交通省のダムである。八ッ場ダムの暫定水利権がダム中止後、使用できなくなることは決してない。
細川内ダム(徳島県、国土交通省) 2000年度に中止
暫定水利権は那賀町工業用水道で、現在も継続使用
清津川ダム(新潟県、国土交通省) 2002年度に中止
暫定水利権は周辺9市町村の水道で、ダム中止後も継続使用。
その後、市町村合併により、水源の融通がなされ、2006年度までに清津川ダムの暫定水利権は解消されている。

4 埼玉県民の過重負担
埼玉県水道を例にとれば、農業用水転用水利権の確保のため、すでに多額の費用を負担している。利根中央事業の場合は1㎥/秒あたりの負担額が125億円にもなっている。八ッ場ダムの非かんがい期(冬期)の水利権に対する同県の負担額は約74億円であるから、夏期と冬期それぞれ水利権を得るということで、約200億円の負担になっている。
一方、八ッ場ダムで通年の水利権を得る茨城県水道の1㎥/秒あたりの負担額は131億円であるから。埼玉県民はその1.5倍以上の負担をさせられつつある。
みんなの八ッ場図版10
5 水利権の許可権をダム建設推進の手段に使う国交省
上述のとおり、八ッ場ダムの暫定水利権は、八ッ場ダムがなくても取水し続けることが可能なのであるから、安定水利権として認めればよいのだが、利根川の水利権許可権者は国交省で、八ッ場ダム建設の事業者も同じ国交省である。国交省は水利権許可権をダム事業推進の手段に使っていると言ってよい。実態に合わない非合理的な水利権許可行政を根本から改める必要がある。
 Ⅳ 大渇水到来のために八ッ場ダムが必要だという話の誤り

大渇水到来の話は八ッ場ダムには直結せず
石原慎太郎東京都知事は「異常気象が深刻化しており、日本だって、いつ干ばつにさらされるか分からない」から八ッ場ダムを必要だと語っているが、これは八ッ場ダムについての知識を持たないことによる発言である。
八ッ場ダムはそれほど大きなダムではなく、夏期は洪水調節のため、水位を下げるので、利水容量は2500万㎥しかない。一方、利根川水系にはすでに11基のダムがあって、それらの夏期利水容量は合計では4億3329万㎥あるから、八ッ場ダムができても、約5%増えるだけである。
渇水が起きることがあるのはほとんど夏期であるから、夏期の利水容量が重要であるが、八ッ場ダムはその容量が小さいダムなのである。
大渇水が来るという話自体が現実性のない話であるが、そのことはさておき、八ッ場ダムが完成しても、利根川水系ダムの状況が現状とそれほど変わるわけではないから、都知事の発言は完全にピント外れである。
みんなの八ッ場図版11
 Ⅴ 八ッ場ダムは利根川の治水対策として重要という話の誤り

 1 八ッ場ダムの治水効果はわずかで、治水対策として意味を持たない。
(1) カスリーン台風再来時の八ッ場ダムの治水効果はゼロ

利根川の治水計画のベースになっているのは1947年のカスリーン台風洪水であるが、同台風の再来に対して八ッ場ダムの治水効果がゼロであることが国土交通省の計算によって明らかになっている。2008年6月6日の政府答弁書は、カスリーン台風再来時の八斗島地点(群馬県伊勢崎市にある利根川の治水基準点)において、八ッ場ダムの治水効果がまったくないことを明らかにした。これは八ッ場ダム予定地上流域の雨の降り方が利根川本川流域と異なっていたからであるが、他の大きな洪水でもよく見られる現象である。
みんなの八ッ場図版12

(2) 過去50年間で最大の洪水における八ッ場ダムの治水効果はわずかなもの
最近50年間で最大の洪水は平成10年9月洪水で、八斗島地点のピーク流量は9,220㎥/秒であった。昭和56年から八ッ場ダム予定地に近い岩島地点で流量観測が行われているので、実際の観測値から八ッ場ダムの治水効果を知ることができる。
同洪水について八ッ場ダムの効果が最も大きくなる条件で求めた結果が図1である。
八斗島地点における八ッ場ダムの水位低減効果は最大13cmで(実際には8cm程度)、そのときの水位は堤防の天端から4m以上も下にあった。八ッ場ダムがあったとしても、この洪水においては何の意味もなかった。
また、図2は堤防の天端と同洪水の痕跡水位(最高水位の痕跡)を八斗島地点から栗橋地点(埼玉県)までの区間について示したものである。どの地点とも痕跡水位は堤防天端から約4m下にあるので、八ッ場ダムによるわずかな水位の低下が意味のないものであることは明らかである。
このように利根川はほとんどのところで大きな洪水を流下できる河道断面積がすでに確保されているから、八ッ場ダムのわずかな治水効果は意味を持たない。
八ッ場ダムの効果が最も大きくなる条件で求めた計算結果
みんなの八ッ場図版13

2 ダム建設のために後回しにされる河川改修
(1)破堤の危険性をはらむ利根川の堤防
堤防は何度も改修を重ねてきたため、十分な強度が確保されているとは限らない。洪水時に河川の水位が高い状態が維持されると、水の浸透で堤体がゆるんで堤防が崩れたり(すべり破壊)、あるいは堤防にみず道が形成されて堤防が崩壊したりする(パイピング破壊)危険性がある。
国土交通省が利根川の堤防の安全度を調査した結果を情報公開請求で入手して、整理した結果の一例を図3に示す。利根川中上流部の右岸は、すべり破壊・パイピング破壊の安全度が1を大きく下回って破堤の危険性がある堤防が随所にあることがわかる。利根川の他の区間も同じような状況である。
みんなの八ッ場図版14

(2)河川改修の事業費が急減
このように、利根川は破堤の危険性がある堤防が各所にあるから、堤防の強化対策を早急に実施しなければならない。ところが、利根川水系の河川予算の推移を見ると、図4のとおり、八ッ場ダム等のダム建設費が増加する一方で、堤防の強化を含む河川改修の事業費は年々急速に減少してきている。堤防の強化対策を後回しにして、治水効果が希薄な八ッ場ダム等のダム建設に河川予算の大半が注ぎこまれている。
このように、治水に関しては、八ッ場ダムは必要性が希薄なだけでなく、利根川の真の治水対策を遅らせる重大な要因になっている。
みんなの八ッ場図版15
 Ⅵ ダム予定地の生活再建と地域の再生について

1 地元の町とダム予定地からの反発
八ッ場ダムの中止に対して地元の町とダム予定地から次のように強い反発が出され
ている。「地元はダム事業に多大な犠牲を払って協力してきた。ダムの完成は地元との約束である。中止となれば、地元住民は途方に暮れ、観光再建計画でも再度ゼロからの再考を余儀なくされ、ダメージは計り知れない。」
ダム予定地では多くの人が代替地への移転、補償金など、ダムを前提として生活設計を立てており、ダムの中止はその生活設計を白紙に戻し、地元の人たちを苦境に追い込んでしまうから、この反発は当然のことである。3で述べるように八ッ場ダムの中止に当たっては、水没予定地の人たちの生活を再建し、地域を再生させるため、最大限の取り組みがされなければならない。

2 ダム事業を進めても地元の活性は取り戻せない
ただ、注意を要するのは、このままダム事業を進めても、人口の激減で活性が大きく失われてきているダム予定地が再び活性を取り戻すことはきわめて困難だということである。

(1) 八ッ場ダム湖は観光資源にならない。
国と県は、八ッ場ダム湖を観光資源としてダム予定地周辺を一大リゾート地にする地域振興構想を示しているが、その構想は絵空事にすぎない。八ッ場ダム湖は観光資源になるような代物ではない。夏期は洪水調節のため、満水位から28mも水位が下がり、渇水時にはさらに10mも下がるダム湖である(3ページのグラフ参照)。しかも、上流の観光地や牧場等から多量の栄養物が流入してくるダム湖であるから、浮遊性藻類の増殖による水質悪化が避けられない。貯水池の底の方に汚れた水がたまっているダム湖が観光資源になるはずがない。
八ッ場ダム完成後の景観イメージ
みんなの八ッ場図版16
群馬大学社会情報学部戸叶知美さんの卒業研究論文より(石川真一研究室)
① 夏期には水位が満水位から28メートル以上も低下
② 浮遊性藻類(植物プランクトン)の異常増殖で水質がひどく悪化

(2) 美しい吾妻渓谷の喪失
吾妻渓谷は八ッ場ダムができると、その上流部は破壊されるか、ダム湖の底に沈んでしまうが、残される中下流部の渓谷も今の美しさを失ってしまう。岩肌の美しさは時折来る洪水によってその表面が洗われることによって維持されているから、ダムが洪水を貯留するようになると、下久保ダム直下の三波石峡のように岩肌をコケが覆い、草木が茂って様相が大きく変わってしまう。

(3) ダム湖による地すべり発生の危険性
八ッ場ダム予定地の周辺は地質が脆弱なところが多いので、ダムができてダム湖から水が浸透し、湖水位が大きく上下すると、地すべりが起きることが予想される。川原湯の代替地の一つである上湯原地区は面積では最大の地すべり危険地区である。ダム完成後、地元住民は地すべり発生の危険性をいつも心配する日々を送る可能性が高い。
以上のことを考え合わせると、このままダム事業を進めても、ダム予定地が観光地として活気を取り戻し、人々が経済的にも精神的にも安定した生活を送ることはむずかしいように思われる。

3 ダム中止後こそ、真の地域再生を!
(1) ダム中止後の生活再建支援法案の制定を!
ダム中止後は国交省や県が示す絵空事ではなく、吾妻渓谷などの自然を観光資源として活かして着実に地域を再生する道筋を考えなければならない。
生活再建と地域振興、それらを推進するためには、そのことを制度的に可能にする法律の制定が必要である。
民主党は今年5月20日に「ダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法案(仮称)骨子案」を発表し、パブリックコメントの募集を行った。その骨子案では、国、都道府県、市町村、住民で地域振興協議会を組織した上で、そこでの協議を経て、都道府県が地域振興計画を作成し、その計画に基づく事業が国の交付金で実施されることになっている。今後の法案化の段階で具体的な内容が加えられていくであろうが、何よりも大事なことは地元住民の意向に基づいて生活再建・地域振興の計画が策定されなければならないということである。そのためには、地元住民の合意形成が必須条件であることが法律に明記される必要がある。

(2) 生活再建、地域再生のためのきめ細かな取り組みを!
このような法律に基づき、老朽化した家屋・建物の新改築、生活再建のための物心両面の支援措置、衰退した地域の基幹産業を再生させる支援プログラムの推進、移転した人たちを呼び戻すための既買収地の譲渡など、地域を再生させるための様々な取り組みがされていかなければならない。それは、不要なダム計画の推進で地元を半世紀以上も苦しめてきた国と群馬県、さらに、ダム計画を後押ししてきた下流都県の責任の下に行われるべきものである。
みんなの八ッ場図版17
(↑ここまでの作成:嶋津暉之)

(↓ここからの作成:まさのあつこ ジャーナリスト)

「自民党政治」が進めた公共事業(八ツ場ダム)に関する現状

政権交代で国民が転換を望む構図

1.新規事業はおろか、2020年度以後は、既存施設の維持管理・更新ができない

国土交通省所管の社会資本(道路、港湾、空港、公共賃貸住宅、下水道、都市公園、治水、海岸)を対象に、2030年まで推計した維持管理・更新費。
みんなの八ッ場図版18
出典:平成17年度「国土交通白書」(2005年度以降、2030年までの投資可能総額を前年比で国3%削減、地方5%削減したケース)

2.八ツ場ダム関連自治体の人口減少はすでに始まっている

1952年に吉田茂内閣の元で着手、1964年に東京オリンピック渇水に備えて予備調査再開。2001年に工期延長、2004年に事業費倍増、2008年に工期延長。2015年完成予定、事業費4600億円も延期増大の可能性が高いが、2015年には不要。問題は上記1で見るようにその先。
みんなの八ッ場図版19
表:国立社会保障・人口問題研究所『日本の都道府県別将来推計人口』(平成19年5月推計)から作成

3.八ツ場ダムは自治体財政をさらに圧迫する

少子高齢化社会で、自治体はより少ない人口、少ない税収で、借金返済、社会保障費の増大に対応する。分権は叫ばれるが、分権されてもすでに自治体の財政に自由度・柔軟性はない。
みんなの八ッ場図版20
出典:平成17年度都道府県決算状況調と各都県からの聴取により作成。【財政力指数:必要な財源をどれぐらい自力で調達できるか 経常収支比率:人件費や公債償還費など使い道の決まっている経費の割合】(「未来世代にとって八ツ場ダムは必要か」まさのあつこ世界2008年4月号からの再掲)

4. 潤ってきたのはダム予定地ではなく、八ツ場ダム関連事業受注体と国交省天下りだった
みんなの八ッ場図版21
長妻昭衆議院議員/大河原雅子参議院議員入手データ等より作成
(「未来世代にとって八ツ場ダムは必要か」まさのあつこ世界2008年4月号からの再掲)

5.八ツ場ダム推進を審議会で決定したのも天下り委員

河川法に基づき八ツ場ダム事業を含む利根川水系河川整備基本方針を決定した「社会資本整備審議会・河川分科会・河川整備基本方針検討小委員会」(2005年12月19日)に出席した「天下り」委員および知事代理の地方官僚
みんなの八ッ場図版22

公開質問状の回答は「相変わらず」だけど 

9月2日、千葉県知事宛てに提出した公開質問状への回答が届きました。
「洪水対策に必要」「地元住民は望んでいる」という、相も変わらず使い古しのゴム印で押したような内容。しかも森田知事本人の言葉ではありません。

常に正確な知識を求め、物事を正しく見極めたいという皆さんのために、当会ではまだマスコミ報道されていない数字のカラクリから洪水とダムの関係まで、徹底解説した「みんなの八ッ場 パーフェクトガイド」を用意しました。
日本の将来を大きく変える分岐点の象徴【八ッ場】。
図解も交え、石原都知事も目からウロコの分かりやすい解説です。
これを読めば、あなたも日本の明日が見えてきます。

【みんなの八ッ場 パーフェクトガイド】(PDF)ダウンロードはこちらから
モチロン無料です。

画像はクリックで拡大します。
公開質問状の回答

決壊の危険ある堤防を放置して何が何でもダムと言う愚 

前回アッップした動画のテキスト版とも言うべき朝日新聞の記事(2008/8)から転載します。
関西のケースですが、八ッ場と全く同じ問題です。
これはダム地域住民だけの問題ではなく、川のある町に住む私やあなたの安全や生活の問題です。

「長くて全部読む時間がない」と言う方は大く表示した文字だけ読めば要点が分かるようになっています。

「なにがなんでダムをつくるしかない」と言う国交省を「もとダム役人」がぶった切る! 自分の町に川がある人は必見! 堤防決壊の恐怖は他人事ではありません。

【なぜ、どうしてもダムなのか -宮本博司-】
朝日新聞大阪版2008年8月10日~8月26日まで6回連載された企画特集より転載

国交省が、淀川水系流域委員会の意見を無視し、河川整備計画案を「見切り発車」。滋賀、京都、大阪の各知事の意見を求めている。
元近畿地方整備局河川部長であった宮本流域委員長が胸の内を語っている。

 みやもと・ひろし 京都市生まれ。78年に旧建設省に入省し、技官として河川行政一筋に取り組む。近畿地方整備局淀川河川事務所長、河川部長、本省河川局防災課長などを歴任後、06年に退職。淀川水系流域委員会に一市民として応募し、昨年8月、委員長に就任。

(1)住民無視 情けない(2008年08月20日)
なぜ、どうしてもダムなのか
6月18日、淀川水系流域委員会と近畿地方整備局が関係正常化のためトップ会談し、宮本委員長(左)と谷本光司・河川部長(中)が会見に応じる。

 6月19日、会社で仕事をしていた私のところへ、新聞社から電話がかかってきた。「国交省が明日、流域委員会の最終意見が出るのを待たずに、4ダム建設を盛り込んだ計画案を発表するそうです」

 あぜん、とした。

 7年前、「住民の意見を河川計画に反映したい」と、住民の代表や学者らでつくる「淀川水系流域委員会」を作ったのは国土交通省だ。それが委員会の意見を無視して、一方的に計画案を発表するというのである。

 昨年8月に委員会が再開して以降、担当職員が委員の質問にまともに答えなかったり、黙り込んだりが繰り返されたあげくの見切り発車。憤りも通り越して情けなくなった。

かたくなな国交省

  私は元々、国交省の職員としてダム建設に携わってきた「ダム屋」である。流域委ができた当時は淀川河川事務所長。淀川の責任者として、琵琶湖や淀川をどう 再生するのか、住人の安全を守るにはどんな方法がベストなのか、ダムは必要かどうか、流域委とキャッチボールを重ねた。一昨年に国交省を退職し、今度は一 住民として淀川にかかわろうと、委員として話し合いに加わった。

 最初は、流域委も国交省も同じ認識だったのだ。

 「ダムは他に実行可能な方法がない場合に、環境影響について慎重に検討し実施する」。これは、04年に国交省が出した文書である。長良川河口堰(かこうぜき) 建設に対する全国的な批判を契機に河川法が改正され流域委ができたのだから、効果もあるがマイナス面も大きいダムの建設はみんなで慎重に考えようというの は当たり前のことだった。

 だが流域委が「ダムは原則建設しない」と提言し、それを受けて05年、国交省が大戸川など2ダムの建設凍結を発表した後から流れが変わる。「川のことは国交省が一番よく知っている。本気でそこまで住民や学者の意見を聴くのか?」との反動だったのか。

 流域委は突然休止され、国が委員を選び直して再開。07年、大戸川ダム建設が復活。「何が何でもダムをつくる」とひた走る国交省と流域委の議論はかみ合わなかった。

  5月には「流域委は予算を使いすぎている」と審議打ち切りの話が出てきた。「なぜ、どうしてもダムを造りたいのか」と委員から疑問の声があがる中で打ち切 りに向かっていった国交省は、どこまで本気で住民の意見を反映しようとしているのか。説明責任を放棄し、住民意見の反映を拒否したとみなされてもしかたがない。

600回開催の流域委

 だが「国交省が強引に進めると言ったからもうどうしようもない」と引き下がるわけにはいかない。ことは住民の命にかかわる問題なのだ。

 そのことを一体、どれくらいの方が認識しておられるだろう。

 もしかすると皆さんは、こんなふうに考えているのではないだろうか。

 「国交省には批判もあるが、これだけ治水事業をやって、たくさんダムも造ってきたおかげで、もう洪水で人がたくさん死ぬ心配はない」

 「ダムがいらないと言っている人たちは、人間の命より魚や鳥の命を優先しているのではないか。確かに自然環境も大事だが、人命より優先するものはない」

 こうした考えは、とんでもない誤解である。

 ダムにこだわる国交省の洪水対策のやり方を変えない限り、3年前に「カトリーナ」の上陸で1千人以上が亡くなったニューオーリンズの悲劇は他人事(ひとごと)ではない。

 流域委員会が600回の会合を重ね、調べ、話し合ってきたことを、改めてみなさんにお知らせしたい。そのうえで、果たしてどうしてもダムに頼らなければならないのか、他の道を探るべきか、考えていただければと思う。

     ◇◇◇

(2)国の想定なら効果(2008年08月21日)
なぜ、どうしてもダムなのか
旭区の淀川堤防。国交省がこの水位までなら堤防が崩れないとするラインが横に置いた白いメジャー。200年に一度の大雨が降ると白い棒の高さになる

 「どうしてもダムが必要だ」と言い張る国土交通省の主張をわかりやすく言い換えると、つまりはこういうことになる。

 「万が一の大雨が降ったとき、洪水を防ぐにはどうしてもダムをつくるしかない」

 本当だろうか。まず、国交省の主張をおさらいしてみよう。

 ◆万が一の大雨とは

 「万が一の大雨」とは、どんな雨か。

 国交省は「200年に一度の大雨」を想定した。

  過去の気象統計をもとに、計算式を使って「200年に一度の大雨」をはじき出し、この雨が降った場合の淀川の水位を計算。すると、国交省が「これ以下なら 安全を保証したい」と設定した水位を、一部の区間で最大17センチ上回ることがわかった。そうなると、堤防が壊れ、膨大な被害が生じるおそれがある。

 そこで、上流に大戸川ダムをつくる。そうすれば、水位を19センチ下げることができる。

 「淀川流域に住むみなさん、大戸川ダムをつくれば、たとえ200年に一度の雨が降っても、水位に2センチの余裕が生まれます。堤防は壊れません」というのが国交省の主張だ。

 「そうか。それなら、まあお金はかかるかもしれないが、ダム建設も仕方ないんじゃないの」

 そう思ったあなた、「200年に一度の大雨」について、少し考えてみてほしい。

 ◆「200年」は国の目安

  そもそも、「なぜ100年でもなく、300年でもなく、200年なのか」に明確な答えはない。200年はあくまで、国交省が洪水対策をとる上で設定した 「目安」にすぎない。さらに、200年に一度の大雨の量自体、アバウトなものなのだ。学説によって何通りも計算式があり、どの式を使うかで雨量は大きく 違ってくる。

 さらに、この「200年に一度の大雨」よりわずか数%多く雨が降れば、たとえ大戸川ダムがあっても、設定した水位を上回 り、堤防が決壊する危険性が大きくなる。つまり、確かに大戸川ダムは水位を下げることはできるが、極めて限定的な洪水にしか効果をもたらさないのである。

 こんな声も聞こえてきそうだ。

 「そうはいっても、200年に一度の大雨を超える雨なんて、現実には降らないんじゃないの」

 だが残念ながら、自然現象は人間の想定内には収まってはくれない。2000年の東海豪雨では、それまで観測された最大降雨量の約2倍の大雨が降った。自然現象は常に異常である。

  淀川流域では1953年の台風13号のとき記録が残る中で最大の洪水量を記録したが、もし、このときの2倍の雨が降れば、いや、たとえ1・5倍の雨であっても、国交省が計算した「200年に一度の大雨」をはるかに上回る降雨量となる。仮に大戸川ダムを建設したところで、堤防は決壊し、多くの人命が失われることになる。

 洪水対策とは、「いつ、どのような規模で発生するかわからない大雨に対して、住民の生命を守ること」だ。

 だが国交省が主張する洪水対策は、「国交省が想定した範囲内の大雨に対してなら、住民の生命を守りたい」。

 あなたは、これで納得できるだろうか。

     ◇◇◇
(3)悲劇 他人事でない(2008年08月22日)
なぜ、どうしてもダムなのか
05年8月、米ルイジアナ州ニューオリンズを襲ったハリケーン「カトリーナ」で市街地のほとんどが冠水、取り残された住民は警察官に救助された

 3年前、アメリカのニューオーリンズにハリケーン「カトリーナ」が上陸した。

 ニューオーリンズはミシシッピ川とポンチャートレーン湖にはさまれている。町は、堤防の下7~8メートルの低地に広がっている。

 この堤防が一気に決壊したから、たまらない。一瞬にして1千人を超える方が亡くなった。

 このニュースを見て、みなさんはどう思われただろう。「かわいそう」「大変なことが起きた」とは思っても、果たして自分たちにも同じことが起こりうると思った人が、どれくらいいるだろうか。

 ニューオーリンズの地形と大阪の地形を比べると、決して他人事(ひとごと)ではないのである。

大阪の地形は怖い

 もともと海の底だったところに土砂が堆積(たいせき)してできた土地に広がる大阪の町は、淀川の堤防のてっぺんから10メートル、大和川のてっぺんからは20メートル下にある。あの一気にやられたニューオーリンズの地形より、もっと怖い地形に大阪の町はできている。

  しかも大阪には地下鉄が走り、地下街が広がっている。国交省のシミュレーションによると、もし、JR京都線が淀川を渡る地点で淀川の左岸堤防が決壊したとすると、天神橋6丁目の地下鉄入り口から氾濫(はんらん)した水が流れ込み、約7時間で、大阪のすべての地下鉄、地下街が水没するという。堤防が決壊したときの深刻さは、ニューオリンズをはるかにしのぐことになる。

 だがどれだけの大阪住民が、堤防が決壊し、押し寄せる氾濫流に自分が流されて死ぬおそれがあると思っているだろう。

  ニューオリンズでもカトリーナの上陸前夜、近づいてくるハリケーンで堤防が決壊し、その氾濫流にのみこまれて死ぬかもしれないと思ってベッドに入った人が いただろうか。誰もそんなことはあり得ないと思っていただろう。大災害は実際に起きて初めて、それが現実に起きるものだと実感させられるものなのだ。 ニューオリンズの悲劇は決して他人事ではない。

たまたま被害なし

 でも、あなたはこう思うかもしれない。

 「そんなこといったって、日本ではこのところずっと、ニューオリンズみたいな大洪水は起きていないじゃない」

 日本でも、昭和20年代は台風がたくさん来て多くの方が亡くなった。昭和34年の伊勢湾台風は約5千人が犠牲となる惨事となった。だがその後、洪水による死者はぐんと減っている。自然災害で大勢の人が亡くなったといえば、阪神大震災が記憶に新しい。

 地震で人が亡くなることはあっても、治水対策が進んだ日本では、もはや水害で人が亡くなることはない……そんなふうに、たくさんの人が考えているかもしれない。

 だが本当にそうだろうか。

 これまで洪水氾濫が起きるたびに、堤防のかさ上げが繰り返されてきた。確かに10メートルもある堤防はなかなかあふれない。だがいったんあふれて堤防が壊れたら、その被害は、堤防が低かった時代とは比べ物にならないほど壊滅的なものになる。

 自然は人間の思い通りに治まってはくれない。私たちが自然から堤防決壊というしっぺ返しを受けるのは、50年後かもしれないが、明日かもしれない。たまたま、このところ淀川では、それほどの大雨が降っていないだけだ。

 そして恐ろしいことに、淀川をはじめ、日本のほとんどの川の堤防は頑丈そうに見えるがその実、非常にもろいのである。

     ◇◇◇

(4)堤防は脆弱なまま(2008年08月23日)
なぜ、どうしてもダムなのか
台風23号の影響で円山川があふれ、水没した住宅地=04年10月21日、兵庫県豊岡市

 みなさんは大きな川の堤防を見てどんな印象を持つだろう。草の茂った堤防は、まるで山のよう。いかにも頑丈に見えるのではないだろうか。

 山が頑丈なのは、表層の土をのぞけば中は岩だからである。一方、日本の堤防の多くは土砂を積み上げただけだ。

 信じられないかもしれないが、京都府を流れる木津川の堤防はほとんど砂でできている。海水浴で砂山を作った人なら、そのもろさが分かるだろう。そんな堤防のすぐそばに家が建ち、街がある。

 淀川はどうか。

 淀川の堤防は土。砂山ならぬ「土饅頭(まんじゅう)」。土は砂より粘りけがあるとはいえ、決して頑丈な山ではない。

想定外対策後回し

 こんな川に大雨が降ると、どうなるか。

 水がしみ込んだ堤防の強度は低下する。強い勢いで流れる水にも削られる。それだけで決壊することもある。なんとか持ちこたえても、いったん水流が堤防を乗り越えて流れ出すと、水は川の反対側の斜面をどんどんえぐり、決壊を引き起こす。

 こうして一気にあふれる水のエネルギーはすさまじい。


  4年前、兵庫県豊岡市で円山川の堤防が切れた。堤防を越えた水は反対側の地面を4~5メートルえぐり、決壊。上流の出石川では、決壊地点近くに立っていた 家が一気に300メートル流された。翌日に現場へ行った私は背筋が寒くなった。決壊だけは防がなければならない。仮に水があふれても、決壊しにくい「しぶ とい」堤防でなければいけない。

 円山川では洪水の後、川と反対側の堤防斜面にブロックマットを敷いて上から土をかぶせた。これだけでも、あふれた水が堤防を削るのに抵抗できる。堤防をしぶとくする工夫は様々考えられる。

 なぜ、こうした当たり前の対策が行われてこなかったのだろう。

  これまでの洪水対策のやり方はこうだ。「ここまでの雨なら耐えられる川にする」と、まず雨の量を決める。次に、その水を「ダムでくい止める水」と「川に流 す水」に分ける。その計算に従ってダムを造り、川では、想定した水位までは、水が流れる側の堤防をコンクリート護岸などで固める。

 だが想定を超える水が流れたときの対策は後回し。その時は「決壊してもやむを得ない」ということになる。


堤防強化タブーに

 いったん洪水になれば、最悪の場合は多くの命が奪われる。「やむを得ない」で済むはずはない。ところが淀川において、国土交通省は、自分たちが想定した水位を超えることを前提とした堤防の整備を行うことは考えていないと明言した。

 なぜ、こんなおかしなことになるのか。

 私もかつて国交省の職員として、雨を想定し、計算に基づいてダムを造ってきた。

  だが一方で、「人間の勝手な計算どおりに自然が従ってくれるはずはない」とも感じていた。だいたい、ダム建設には時間も金もかかる。いつになったら多くの ダムを造りきって計画が完成するのか見通しは立たない。常に「計画中」「整備中」。そうしている間にもいつ大雨が降るかわからない。

 私以外にも、こうした疑問を口にする職員は少なくなかった。一部の川では、たとえ水が堤防を乗り越えても急激に決壊しないよう堤防強化が行われた。

 だが次第に、国交省でその議論はタブーになっていく。堤防強化を推し進めることは、それまで「必要だ」と言ってきたダムの必要性を否定しかねないからだ。その結果、日本の川の堤防は脆弱(ぜいじゃく)な「砂山」「土饅頭」のまま、強化対策は本格的に実施されていない。

 堤防決壊で住民の命が失われるのに有効な対策を行わない……それは、命をないがしろにする国の不作為ではないだろうか。

      ◇◇◇

(5)減災へ転換 実行を(2008年08月25日)
なぜ、どうしてもダムなのか
洪水から町を守るには、堤防強化や川底の掘削、ダム建設だけでよいのだろうか。

 大阪の町が「天井川」に挟まれた底にあり、大洪水に見舞われたニューオーリンズよりも危険な場所に位置していることはすでに紹介した。なぜこんなことになったのか。

 もともと、川は低いところを自由に流れていた。それでは人間にとって不都合なので、堤防を造って「あまり自由に流れてくれるな」と、川を固定した。

  川を固定すると、いろんなところであふれていた洪水のエネルギーが全部川に集まってくる。一方、住民は「堤防ができたから安心」と、川の近くに住み始め る。そこへ未曽有の大雨が降り堤防が壊れる。これではいかんと、堤防をかさ上げする。今まで以上に洪水のエネルギーは川に集中。人々はもう安心と、さらに 周囲に町を築く。そこへまた大雨。洪水。堤防をかさ上げ……この繰り返しがずっと続いてきたのだ。

 ◆堤防どんどん高く

  秀吉が淀川に最初に作った堤防の高さは2メートル程度だったと言われる。しょっちゅう水はあふれていただろう。だが周囲にはそんなに人も住んでおらず、たいしたことにはならなかったはずだ。それをどんどん高くして、現在は10メートル。そのすぐ横に、日本で最も密度の高い町ができている。10メートルの堤防はなかなかあふれないが、自然は人間の備えに応じて治まってくれるわけではない。もし壊れたら、町は一気にのみこまれる。のみこまれる町の一軒一軒には 人が住んでいる。家族がいる。そして、この堤防は土でできている。

 とりあえずは堤防を強くしぶとくすることが必要だ。さらに、洪水を川の中に押し込める考え方を変えなければならない。川だけでなく、できるだけ流域の中で水をためる方向へ転換していかなければいけない。

 ◆昔は田に水を分散

  佐賀県の城原川には、「野越し」と呼ばれる工夫が残っている。所々でわざと堤防を低くして、そこから水が乗り越えても堤防が壊れないように堤防を強化して いる。洪水は、ある水かさまでは川の中を流れるが、それ以上になると一部を「野越し」から周りの田んぼに流してうまくエネルギーを分散している。昔からの 知恵であろう。

 こういう、水がじわっとあふれる場所を地域に作る工夫を取り戻さなければならない。もちろん、他の所に比べて水がつきや すいわけだから、農地にするとか公共の公園にするとか土地利用を変えたり、その土地にかかる税負担を軽減したりするなど、ハード、ソフト様々な工夫をし て、洪水エネルギーを流域全体で分散して受け止めていく。目先の対策の繰り返しでは危険は増すばかりだ。

 実はこのことは、国土交通省も十分認識している。

  98年度の重点施策では、災害発生を前提として被害を最小限にする「減災」への方向転換を打ち出し、「想定を超える洪水が生じても被害を最小限に食い止め るため、たとえ越水しても急激に破堤しない」堤防の強化対策への推進を掲げた。さらに00年の河川審議会答申では、川の氾濫(はんらん)を前提とした土地 の利用方法や、建物の建て方も含めた治水対策への転換が示された。

 ところがその後、具体的な施策はいっこうに進まない。依然としてダムと川だけで洪水を処理する発想で計画が作られている。

 国交省自身が限界を認識し、方向転換をうたったのに、舵(かじ)を切ることができない。このままでは、住民の生命を乗せたタイタニック号の氷山への衝突は避けられない。

      ◇◇◇

(6)住民が行政の力に(2008年08月26日)
なぜ、どうしてもダムなのか
川に雨水を全部流し込まず、流域で水をためる。私もせめて家の屋根にたまった水だけはためようと、雨水貯水タンクを作って家庭菜園を始めました=京都市

 私は建設省に入省し、辞職するまでの28年間のほとんどの期間、ダム事業にかかわってきた。

 日本の川は水量の変動が激しい。急な地形と季節的に偏った雨の影響で、大雨が降ると洪水になり、日照りが続くと水が枯れる。ダムは、水量が大きいときは水をため、少なくなったら水を流す水ガメだ。ダムが住民生活に寄与してきたことは事実である。

 問題なのは、ダムそのものではない。想定した雨量をもとに算出した洪水量を、机上の計算でダムと川で処理するという数字のつじつま合わせで、本当に住民の命を守れるのかということだ。

堤防強化急ぐべき

  淀川のような流域面積の大きな川のはるか上流に千何百億円もかけてダムをつくっても、淀川で水位を下げる効果は小さい。ダムだけにこだわっていては、想定を少しでも超える雨が降れば、いつニューオーリンズの悲劇が起きてもおかしくない。それよりも、土饅頭(まんじゅう)である危険な堤防の強化を急ぐべき だ。堤防の強化は、多くの住民の命を守るための最低装備である。

なぜ、その当たり前の理屈が通じないのか。
なぜ、何が何でもダムにこだ わるのか。
どうしてもダムが必要というなら、住民の命を守るためにダムがどのように貢献するのかを、他の方策と比較して具体的にわかりやすく説明すること が不可欠だ。

想定した洪水には貢献できるが、それを少し上回る洪水では貢献できません、うまくダムの上流で大雨が降れば効果を発揮するが、他の所での大雨 には効きませんというのでは、多額の税金を使い、川の環境を破壊し、水没地域の人々を犠牲にする説得力はない。
「従来の計画で決まっているから」「ここま でやってきたから」では通用しない。

職員は悩んでいる

 私がそのことを思い知ったのは、岡山県の苫田ダムの現場を担当したことがきっかけだった。膠着(こうちゃく)状態に陥っていた建設予定地に入って地元の人とひざをつき合わせて、水没する地域の現実を知った。賛成の人も反対の人も「怨念(おんねん)」としか表現できないような深い痛みを抱え込んでいた。これほど人々に痛みを強いて造るのがダムならば、ダムを造ろうとする人間は、自ら水没住民の痛みを感じ、悩み抜き、多くの住民に徹底した説明を行い、ダム建設はやむを得ないと心から納得してもらわなければいけない。何のためにダムをつくるのか、とことん考え、悩んだ。

 国土交通省は、決して従来の方法に固執しているガチガチ頭の集団ではない。職員の多く は、「今までのやり方は限界だ」「今の堤防では危険だ」と分かっている。200年に一度、150年に一度という大雨を想定した洪水対策にしても、河川局の 中だけなら通用するが、一般の住民に納得してもらえるまでは説明しきれないことも、分かっている。私が近畿地方整備局の河川部長だったとき、住民と意見の キャッチボールをしながら大戸川ダムと余野川ダムの建設凍結を打ち出したが、悩みに悩んでこの方針を作り上げたのは近畿地整の職員であり、承認したのは河川局の職員であった。

 その後の揺り戻しの中、多くの職員は真剣に悩んでいると思う。心が揺れているところなのだと思う。だが彼らの力だけでは前に進めない。分岐点にいる河川行政が新しい方向に行けるよう後押しできるのは、社会や住民の力しかない。一人でも多くの人にこの問題に関心を持っ てもらい、自分たちの命、子どもや孫の命を守るために何が本当に必要なのか、ぜひとも考えてほしい。

シンポジウム『ダムに負けない村』【動画】 

八ッ場ダム問題を理解するための動画です。
洪水のメカニズムとダムの関係を非常に分かりやすく説明しています。
どうぞごらん下さい。

2009年7月20日、群馬県前橋市で行われた
シンポジウム『ダムに負けない村』より

基調講演『河川行政の転換ーダム予定地の現実に接して
講師:宮本博司さん

【洪水のメカニズム~堤防が決壊する時】
みなさんは大きな川の堤防を見てどんな印象を持つだろう。草の茂った堤防は、まるで山のよう。いかにも頑丈に見えるのではないだろうか。
 山が頑丈なのは、表層の土をのぞけば中は岩だからである。一方、日本の堤防の多くは土砂を積み上げただけだ。


【堤防決壊の理由~桂離宮の賢い洪水対策】
 水がしみ込んだ堤防の強度は低下する。強い勢いで流れる水にも削られる。それだけで決壊することもある。なんとか持ちこたえても、いったん水流が堤防を乗り越えて流れ出すと、水は川の反対側の斜面をどんどんえぐり、決壊を引き起こす。


【洪水エネルギーの分散】
  佐賀県の城原川には、「野越し」と呼ばれる工夫が残っている。所々でわざと堤防を低くして、そこから水が乗り越えても堤防が壊れないように堤防を強化して いる。洪水は、ある水かさまでは川の中を流れるが、それ以上になると一部を「野越し」から周りの田んぼに流してうまくエネルギーを分散している。昔からの 知恵であろう。


【ダム建設は銭次第】
賛成の人 も反対の人も「怨念(おんねん)」としか表現できないような深い痛みを抱え込んでいた。これほど人々に痛みを強いて造るのがダムならば、ダムを造ろうとする人間は、自ら水没住民の痛みを感じ、悩み抜き、多くの住民に徹底した説明を行い、ダム建設はやむを得ないと心から納得してもらわなければいけない。何の ためにダムをつくるのか、とことん考え、悩んだ。


【建設省の説明の長さと胡散臭さは比例する】
ダムや河川など地域の問題を、地域からもっとも遠く地域の痛みが分からない霞ヶ関がシステム。
大戸川ダム、やらないフリしてやる官僚マジック。
要旨では「凍結する」が、本文では「実施次期を検討する」にすり替わる二枚舌。


講師:宮本博司さん
【プロフィール】
1952年京都生れ。 1978年旧建設省へ入り、苫田ダム工事事務所長、長良川河口堰 建設所長を歴任。その後、近畿地方整備局河川部長として情報公開の徹底などいわゆる淀川方式の実践に尽力。06年、本省防災課長を最後に国交省退職後、一市民として淀川水系流域委員会委員長に選ばれるが、08年辞任。現在、家業の樽徳商店会長を務める。

報道に反証する 

このところ目につく「八ッ場ダムは続けるべき」という報道に対し、私たちは広く正確な情報を配信する必要性を感じています。

このサイトにコメントしてくれた方もおっしゃるように、9月13日(日)午後のテレビ「噂の東京マガジン」では、
「今更中止されたら困る」と時には涙ながらに訴える地元住民たちを中心に、地元では既にほぼ全員がダムを望んでいるのに、ヨソ者である市民団体が無責任に反対しているという構成の報道になっていました。
報道、特にテレビの力はとても大きいです。
地道に活動してきた市民グループの説明を取り上げることなく、無批判にダム推進派の代弁者になる危険を制作者はよく考えてほしいと思います。

報道の方々に於かれましては、表面の数字や、感情論に惑わされることなく、トリックの下にある現実的な数字、事実に基づく客観的な検証をこそ、展開してみせる使命があるのではないでしょうか?

国交省の出す数字や自民党ダム推進派と一部の地元の意見だけを鵜呑みにして、「ダムは作らなきゃ!!」という流れを今マスコミが作るならば、数年後には間違いなくみんなが後悔することになるでしょう。

その決断は、日本の未来にとって誇りあるものとなるでしょうか?
目先の騒ぎに踊ることなく、どうか今、考え、検証して下さい。

正確な情報を報道するために、私たちは協力を惜しみません。
分かりやすくまとめた資料も沢山あります。
ぜひ、ご連絡ください。


ということで、ここに反証を行ってみます。

【すでに70%も進捗している事業を今更やめるとは何事か】

【反論】
70%というのは総事業費の進捗率。
それぞれの工事を見ると、
  • 付け替え道路の完成区間は6%
  • 付け替え県道はわずか2%
  • 付け替え鉄道だけは75%まで完成しているが、最重要部分がまだ
  • しかも、ダム本体は全く未着工の0%
これしかできていないのに、もう事業費の70%を使ってしまっており、残りの事業を全て完成するまでに残りの1,600億円で済むわけがないことは、誰の目にも明らかです。

つまり八ッ場は、まだ主役のダムさえ造り始めてないのに、お金はもう7割使ってしまった。というような話です。
つまり新築の家、まだ屋根しかできてないのにもう3割しかお金が残ってない。というような話です。
つまりサラリーマンのお小遣い、まだあと半月以上あるのに、3,000しか残ってない。というような話です。

「これまで3,000億円以上使ったのだから、工事を続けろ」というのは、パチンコで「もうこの台に30,000円も突っ込んだんだから今更やめらんない」と言って全財産スッてしまうような話だと思いませんか?


【八ッ場ダムを中止すれば、これまで1都5県が負担した1,460億円を返還しなければならず事業を続けるより、かえってお金がかかるではないか】

【反論】
これは数字の誤りです。
今まで1都5県が負担した総額は確かに1,460億円だが、これには国庫補助金として国からもらった金が約40%含まれます
もし都県に金が返還される場合、補助金は国に返すので、実質的な返還金は

1460億円×約60%=890億円となる。(パーセンテージの端数は切り捨て)

どのみち県民にとって負担のかかる話ではなく、借りに返還金があれば、都県にとっては嬉しい話だろう。
「ちなみに法律では、ダム事業者が自らダムを中止した場合の返還金は想定されておらず、都道府県への全額返還は明記されていない。
石原都知事が『金返せー』と叫ぶのはお門違いである。
しかも、50年前と違い、東京も千葉も水余りが進み、八ッ場ダムの必要性はなくなっているのに、それを全く検証せず、闇雲にダム推進を続けてきた都県の責任こそが問われるべきなのだ。

八ッ場レクチャー@千葉県庁記者クラブ 

民主党が勝利し、八ッ場ダムストップが現実となったことから、推進派の攻撃や複雑な事実を誤認したマスコミの報道などが目立ちます。
 このため、当会は積極的な意見表明を各方面に行おうと、9月8日(火)、千葉県政記者会見室にて報道記者レクチャーを行いました。
 レクには6社から8名の記者が参加し、当会からは両代表のほか幹事で対応しました。
配布資料は、工事の進捗状況、現在までの千葉県の支出額など、ニュース性を盛り込んだ内容と、治水、利水の目的が失われてムダな公共事業になっている状況とその理由などを説明した7種類を用意しました。
 熱心な質問も出て、報道各社の理解が一段と深めてもらえたものと感じました。

説明は、パワーポイント画面を用意して、質疑応答を含め1時間行いましたが、主な説明内容としては、

  • 千葉県では、すでに八ツ場ダムに参加する必要性が無くなっていること。
  • 千葉県だけではなく、八ツ場ダムに参画している一都五県の全てで、治水・利水のどちらからみても、必要性がなくなり、「工事の完遂」が目的と化していること。
  • 石原東京都知事が報道陣にたいして出した数字はまちがいであり、八ツ場ダムについての認識が正しくないこと。
  • 八ツ場ダムの工事の進捗7割という宣伝は間違いで、鉄道の付け替え工事は70%ほどだが、国道は26%、県道はわずか6%しか完成しおらず、代替え地の造成も遅れている。(6月9日付け、政府答弁書の数値)ダム本体の工事は入札が延期された。
  • 工事が進んでいないにもかかわらず、「工事費は総額の7割を使った」と国が宣伝している のは、「工事中止などできないほど進捗している」というキャンペーンに利用するための偏った数値であり、民主党議員も「国の発表数値は信用できない」と表 明している。
  • 国が説明する支出済み7割では、事業費が今の予算の範囲で収まるとは思えない。
  • 昨年、工期延長したが事業費を増やさないために、地滑り対策工事費を削り、ダム本体工事に使うコンクリート量を減らすなどの経費削減で安全面が心配される。
  • 千葉県の支出額は、八ッ場裁判での千葉県提出数値によれば、総事業費427億円に対し支出額は139億円で、33%である。

「記者からの質問」


Q.政権を担うことになった民主党になにを期待するか?
A.マニフェストにそって、無駄な公共事業(八ツ場ダム事業)をやめてほしい。八ツ場ダム事業についても、正確な資料が出されていない。民主党には政権党としてのきちんとした情報公開を期待する。
Q.千葉県から、20年に2番目の渇水年に対応するために八ツ場ダムの水を確保するとの説明を聞いたが?
A.今回の裁判の途中で、つい最近になって千葉県側が出してきた数字である。国土交通省の示した数字をそのまま使っていて、千葉県の水道用水・農業用水・工業用水の実態や今後の千葉県の水需要を独自に精査して出した数字ではない。数式を並べ立ているが、納得できる数字ではない。


パワーポイント資料のスライドショーはこちら
右上にコントローラーがあります。◀ ▶で手動スライド、▶▶でオートスライドになります。
記者レク

YouTube にもアップしてみました

八ッ場 Q&A 

八ッ場ダムの問題は長い年月を経ており、非常に複雑です。
単純に「やめるか」「つくるか」ということで解決する問題ではありません。
政権交代で初めて日本全国の関心を集めている今、この問題と向かい合い、国のあり方、公共事業のあり方を明確にして行く必要があります。

マスコミ報道でも間違いの多いこの複雑な問題を、より多くの人々に理解していただくため、皆さまの疑問にお答えします。(回答:大野ひろみ)
Q.無駄な公共工事には反対ですが、八ッ場はもうだいぶ工事が進み、テレビや新聞でも「今更中止は困る」と地元住民が訴えています。ここまで来たら完成させた方が良いような気がしますが?
A.国交省は「もうだいぶ工事が進んでいる」と発表しているので、そう思っている方がマスコミも含め少なくありません。ところがここに数字のマジックがあります。
「付 け替え道路は既に70%できている」と国交省は発表していますが、実はちょっとでも工事に取りかかっているところを全てあわせて70%なんです。実際に完 成している部分は全体の6%しかありません。しかも、道路予定地には崩落箇所も多く、この先何年かかるか分かりません。
更に、ダム本体の工事はまだこれからです。やめるなら今です。
首都圏の水は余っているし、治水効果も疑わしい(国交省がきちんとした根拠を示していません)ダムは今こそやめるべきなのです。
ダムは一旦作ってしまえば砂がたまるので、莫大な費用がかかる浚渫(しゅんせつ=港湾・河川・運河などの底面をさらって土砂など取り去る土木工事)をし続けなければならず、役目を終 えた時の廃棄処分には数百億円かかります。

「今更中止は困る」という地元住民の声も、最初はダム反対だったけれど、この50年間に散々国から圧力をかけられ、ようやくダムを受け入れることに決め、新たな生活設計を立てたところに「いや、中止だよ」と言うのですから当然の反応です。
でも、川原湯温泉の魅力は、ひなびた風情と豊かな湯量、そして類まれな泉質です。ダム湖畔に新しく造られる新温泉街は、800年の歴史が刻んできた現川原湯温泉の風情を再現するのは不可能でしょう。また、お湯は今の川原湯温泉街の最上部にある「新源泉」から1キロも引っ張ってくる予定で、「温泉」としての魅力をつくるには、 今後更なる試練が予想されます。
地元の生活再建策をしっかりと実行し、元の温泉街に人を呼び戻して再建すれば、必ず 再び魅力ある観光名所になります。
新しい温泉街完成予想図
将来の温泉
上図右端部分の温泉街拡大図
将来の温泉
Q.50年もかかってなぜまだできないんですか?
A.八ッ場ダム計画が浮上して57年。猛反対してきた住民が賛成に回ったのは、まだ20年前です。
この間、吾妻川の水が強酸性だったことから一時中止となったり、あるいは角栄/福田戦争に巻き込まれたり、ダムサイト予定地の地盤が予想以上に脆弱であったりなど、遅れに遅れてきました。
しかし、一番の理由は、要するに八ッ場ダムがなくても全く困らなかったからでしょう。
Q.造ったらどうなりますか? 中止したらどうなりますか?
A.1)造ったら?
美しい吾妻渓谷は下流に水が流れなくなり、観るも無残な姿となるでしょう。
強酸性の吾妻川上流部分に毎日大量の石灰を投入するため、この水を溜める品木ダムには中和生成物がどんどんたまります。従って、浚渫(しゅんせつ)を永遠にやり続けなければならず、膨大な費用がかかります。
ダムで栄えた町は今までどこにもなく、地元長野原町は人口流出に歯止めがかからず、巨大ダムのツケが夕張市のような財政破綻を招く可能性があります。
何より、脆弱な地盤に作られる八ッ場ダムは地すべりや亀裂を生じる危険性が否定できません。
2)中止したら?
吾妻渓谷は無事に残ります。未来の子どもたちに大切な自然を渡せます。
長野原町の住民の生活再建にしっかり取り組むことで、昔の賑わいを取り戻せます。
八ッ場ダム中止は「勇気ある撤退」のシンボルとなり、公共事業のムダの撲滅に多大な貢献をすることになるでしょう。
Q.中止しても町の再生にダムと同じくらい金がかかるのではありませんか?
A.町の再生にどれくらいお金がかかるのか、まだ試算されていません。しかし、たとえ同じくらいの費用がかかるとしても、無駄なダムを作って環境破壊・地域破壊を引き起こすより、地元再生にお金を使うほうが数倍も良いのではないでしょうか。
Q.工事続行の場合、完成までにかかる金額と年月はどのくらいですか?
A.国交省は2度も工期を延長し、2015年度末には完成するとしていますが、今の進捗状況では無理です。
再び工期延長する可能性があります。
事業費もこれまで2倍以上値上げされ、総額4600億円とされていますが、工期延長や資材の高騰など、ざっと見積もって1兆円はかかるという人もいます。
Q.八ッ場ダムは造っても脆く、10年かそこらで崩れてしまうと聞きましたが、崩れないように工事することはできないんですか?
A.ダムサイトの周りの岩盤は非常にもろく、今の技術では完璧に補強することは無理でしょう。
Q.八ッ場反対団体は、中止して洪水が起きたら責任とってくれるんですか?
A.そもそも、八ッ場ダムの治水効果も分からないのに、洪水が起きたら「八ッ場ダムを造らなかったからだ」となるのでしょうか?
それよりも、利根川堤の50%近くがいまだ「補強」が必要な状態です。
八ッ場ダムをつくるより、利根川の堤防をしっかりと補修・補強することが急がれます。
第一、国交省は八ッ場ダムの治水効果を言い募るつもりなら、具体的な数値で1都5県の住民に説明するべきでしょう。
Q.「地元民は疲れ切っており、速やかな完成を望む」との報道を目にします。しかし「地元民が疲れ切っている」と言う理由で、千葉県や他県民にとって必要ないダムに多額の税金を使うのは間違ってます。かといって地元の方々は気の毒です。なんとかならないんですか?
A.今テレビで盛んに「速やかな完成を!」と言っているのは、地元の推進派住民や町長であり、ダムに反対している大勢の声なき声は全く報道されていません。マスコミの報道がかなり偏っています。
「人工的なダム湖畔の殺風景な温泉街」よりも、今まで通りのひなびた川原湯温泉の魅力を取り戻すことに時間とお金をかけたほうが良いことを、マスコミを通じて私たちも訴えなければなりません。
Q.中止した場合、そのあとはどうするんですか?
A.国会で地元住民の生活再建支援法を通し、川原湯温泉再建のための具体策に取り組みます。
Q.今まで費やした3000億円以上が無駄になることをどう考えますか?
A.既に手をつけた鉄道や道路をどうするか、今後の議論になると思います。
あくまでも、住民の生活を最優先して、決めるべきでしょう。
今までの自民党政府では、一旦計画された巨大公共事業をストップさせることが不可能でした。
だから、日本は先進国の中でもずば抜けて公共事業に税金を使う国に成り下がったのです。
そのため、社会保障費は圧縮され続け、医師不足・医療崩壊につながりました。
限られた税金をどこにどう使うか、大きな目で見なければなりません。
「今まで3000億円を使ったから、残りの数千億円も使わなければ無駄になる」というのは間違っています。
「今まで3000億円もムダに使ってしまったのだから、あとは1円もムダなお金は使わない」とするべきでしょう。
Q.千葉にはどう関係あるのですか? ダムができると水道代が上がると聞きましたが?
A.例えば、佐倉市の場合、水道水の65%がおいしい地下水です。しかし、地盤沈下を理由に、八ッ場が完成すると井戸を閉じて、まずい利根川の水を買わなければなりません。ダム建設事業費が水道料金にはねかえり、今より1.5倍も高くなると佐倉市は発表しています。’(現在では地盤沈下は収まっています)
Q. 完成後にかかるダム維持費はどれくらいかかるのか? その維持費はどこが賄うのか?
A. 9月11日の東京新聞によれば、「八ッ場ダムの年間の維持管理費は八億~九億円と国土交通省が試算していている」とありますから、約10億円ということになります。
維持管理費も現在の建設費の負担割合と同じ割合で利水者が負担します。(利水予定者が45%)
その他に完成後に利水予定者が負担するものとして、国有資産等所在地市町村交付金があります。これは年度によって変化していきますが、しばらくの間は10億円程度です。
これは固定資産税の代わりに国が長野原町に支払うものですが、負担者は利水者です(発電も少し)。
ですから、ダム完成後に利水者が支払うのは毎年15億円程度となると考えられます。
Q. 
A. 
Q. 
A. 
Q. 
A. 

公開質問状 

森田知事に公開質問状を提出しました。
回答期限は9月14日としました。
また、本日9月8日には報道関係者へ事業の現状等へのレクチャーも予定しています。



2009年9月2日

千葉県知事 森田 健作 様

八ッ場ダムをストップさせる千葉の会
共同代表 中村 春子 村越 啓雄

公 開 質 問 状

 日頃より千葉県民のためにご尽力いただき、感謝いたします。
私たちは、必要性を失ったうえ負の遺産として次世代に禍根を残すであろう八ッ場ダム事業の中止を求めて活動している市民団体です。
  八ッ場ダム問題は千葉県知事選において争点の一つとなり、また衆議院議員選挙でも無駄な公共工事の代表例として取り上げられました。森田知事は知事選挙で の私共のアンケートに対して「八ッ場ダム事業は巨額の費用を要するもので、精査しなければならない。」とご回答されました。
しかし、当選後に開かれたダム推進議連の会合で「この事業はやらなければ駄目なのだ。最初から賛成だった。」と直ちに前言を翻しました。
 また、7月26日に八ッ場ダム現地を視察された後、「中止したら大変なことになる。」と発言されたことも報道で知りました。
知 事は8月6日の定例会見で「進捗状況は70パーセント…わーっと思うぐらい相当の勢いでできていますし」と述べられましたが、これは国交省の予算ベースの 数値であり、2009年3月末の国道付け替え工事の完成区間は全体のわずか6%で、本体工事は未着工です。国交省の都合の良い場所を視察され、国交省担当 者からの偏った説明を受けて判断された上でのご発言ではないかと推察いたします。
八ッ場ダム事業がこれほど問題になるのは、それだけの理由がある とお考えにはならないのでしょうか。貴職は千葉県民の信託を受けて知事に就任されているのですから、本事業に対する充分な情報を得た上で判断すべきであ り、軽々に発言することがあってはならないと考えます。そこで、森田知事のご認識を再度伺いたく、以下の質問にお答え下さるようお願いいたします。

l. 八ッ場ダム事業については、国および千葉県の人口が将来的に減少していく中で新たな水源開発の必要性がないこと、3度にわたる計画変更と事業費増額、工期 延長と完成時期の不確実性、巨額の直轄負担金やダム本体や地すべりの危険性などが指摘されています。国においては民主党を中心とする新政権が発足し、八ッ 場ダム建設中止に向けての具体的な対応が協議されていくところですが、改めて現時点におけるダム事業への参画についてのご認識をお聞かせください。千葉県 民にとっての必要性について、明確なご説明をお願いします。
 
2.ダム建設計画が持ち上がった当初、反対運動を続けていた現地住民の方々 は、半世紀にわたって本事業に翻弄され、現在に至っています。知事は視察後、「現地はダム推進を望んでいる」と発言されました。そこで伺いますが、知事は 現地における経緯をどのように理解され、このような発言をされたのか、お答え下さい。

公務ご多忙とは存じますが、以上2点について、9月14日までに下記の宛先まで文書にてご回答下さるようお願い申し上げます。
 なお、この公開質問状については、ご回答の有無も含めて当会のホームページに掲載し、報道各社へも情報提供することをご承知置き下さい。
 以上、よろしくお願いいたします。




     ご回答先 〒285-0825 
           千葉県佐倉市江原台2-5-29
          八ッ場ダムをストップさせる千葉の会
                   中村 春子 宛

「八ッ場ダム」冷静で正確な情報が必要 

マニフェストで「八ッ場ダム中止」を掲げた民主党が大勝し、これでようやく工事中止に向かうと思いきや、推進派攻防戦の様相を呈し、最近のテレビ・新聞報道が誤り、誤解の多い、非常に偏った情報ばかりになっています。
「八ッ場ダムをストップさせる千葉の会」では、まず正確な情報を記者さんにお伝えするためのレクチャー等を計画しています。

八ッ場ダム周辺の整備は進んだとは言え、ダム本体の工事はまだ始まってもいないのです。

詳細は追ってご報告いたしますが、千葉の会メンバーからの寄稿をご紹介します。

~~~~~~~~~

民主党圧勝で八ッ場ダム「中止 万歳!」といかないのは想定内ではあったが、
「あそこまで出来ているのに無責任!」
などと民主党反対派のバッシングがメディアを通して勢づくことが危惧される。

市民の反対をねじ伏せ、「治水、利水においても不要」という科学的検証をも無視し、完成後には地滑りの危険さえあるダムに工事費を増額し、あそこまで造ったのは 自民党政権であり 国交省による 無駄な公共事業以外の何物でもないのだ。

半世紀以上も翻弄され続けた地元の民の気持ち、半世紀以上もかけて壊してしまった自然は 簡単には戻らない。
せっかく造った道路を生かし、またリニューアルした温泉場になってほしい。

松戸 柘植

==========
ダムに沈む村ダムに沈む村
(2005/04)
豊田 政子

商品詳細を見る

著者の住んでいる集落は53年間もの永いダム騒動の苦悩を背負わされ、国の水没宣言の重圧と対峙して、苦しい日々に明け暮れた…。水没してゆく静かな山里への愛惜をこめて、川原湯温泉の日々の暮らしから紡がれた魂の詩。